当教室で保存されている過去に得られた血液DNAサンプル薬2400例から精巣容積が両側とも5ml以下で、正常核型、Y染色体微小欠失を認めず、精子形成障害の原因として明らかなものを認めない102例を候補として選択した。X染色体の遺伝子のコピー数を網羅的に調べるため、4 x180Kのカスタムマイクロアレイで全染色体をカバーしつつ、X染色体遺伝子を網羅的に調べられるようにX染色体ではプローブ間距離が661bpになるように設定してarray CGHを行った。H27年度に4例についてまず解析を行い、全例とも問題のないクオリティで解析可能であることを確認したが、1例は染色体数異常の疑いがありその後確認したところクラインフェルター症候群であることが判明した。3例で合計22のコーディング遺伝子コピー数バリアントを検出した。3例全てで共通している変化を認めた遺伝子が3つ、2例のみ共通した変化を認めた遺伝子が5つ確認された。その他のノンコーディング領域も含めると多数の共通変化を認めた領域を認めた。H28年度には追加で8症例についてarray CGHを行い、全て解析可能であったが1例クラインフェルター症候群であることが確認された。クラインフェルター症候群の2例を除く10例で検討したところ、計41個のコード遺伝子を含む領域でコピー数の優位な増加、減少を認めた(増加35個、減少6個)。2症例以上で共通してコピー数の増減を認めた領域を9つ認め、その領域内に12のコード遺伝子が含まれていた。これらの遺伝子は精巣の発育および精子形成の候補遺伝子の可能性があることが示唆された。
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