研究課題/領域番号 |
15K20083
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松川 宜久 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30378145)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低活動膀胱 / 脂肪幹細胞 / 膀胱壁微小循環 / 膀胱再生 |
研究実績の概要 |
本研究では、低活動膀胱モデルラットに脂肪由来幹細胞を膀胱壁内に局所注入し、膀胱における組織血流の増加ならびに幹細胞の平滑筋への分化を確認するとともに、膀胱収縮機能の評価を行うことで、幹細胞注入による膀胱機能改善作用およびその機序について組織学的・機能学的に検討することを目的としている。具体的な実施研究項目としては、低活動膀胱モデルラット(膀胱収縮障害モデルラット)の作成ならびに膀胱壁内に脂肪由来幹細胞を注入し、①膀胱内における幹細胞注入部の組織学的変化、mRNAおよび蛋白質レベルの変化の検討 ②CCD生体顕微鏡による注入部の膀胱壁微小血流の解析、 ③膀胱内圧測定による蓄尿・排尿機能に与える影響の検討(膀胱収縮力の評価)、を行うことである。 平成27年度に実施した研究については、低活動膀胱モデルラットの作成ならびに確立化ならびに脂肪幹細胞の注入を行った。これまでのところ確立した低活動膀胱モデルラットが無いために、今回我々は、ストレプトゾトシン(STZ)を用いた糖尿病モデルラットと膀胱出口部閉塞モデルラットを用いて検討を行ったが、検討の結果、メスSDラット13-15週に対し、イソフルラン吸入麻酔下でPE50カテーテルを尿道に挿入、尿道のカテーテルをクランプし、シリンジポンプで流速3ml/hで生理食塩水を膀胱内注入し、注入後クランプ持続し30分してからクランプを解除。これを週2回施行することで、低活動膀胱モデルラットの作成に成功した。膀胱内圧測定、排尿動態検査、膀胱筋層の組織検査により、排尿効率の低下、残尿量の増加、膀胱壁筋層の変化が得られており、低活動膀胱モデルのラットとして妥当であると判断した。 さらにこれらのモデルを使用して、脂肪幹細胞を膀胱壁内注入し、膀胱組織の免疫染色とマッスルストリップ、膀胱内圧測定を行った。結果については現地点ではまだでていないが、今後実験数を増やして評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定としては低活動膀胱モデルラットの作成に加えて、脂肪幹細胞を注入することで、膀胱壁の微小循環の変化ならびに膀胱組織学的変化をみることを予定したが、現地点では上記研究計画通り、低活動膀胱モデルに脂肪幹細胞を注入し、その膀胱組織変化を検討するところまで研究は進んでおり(結果についてはまだでていない)、おおむね順調に進展しいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
低活動膀胱モデルラットに、脂肪幹細胞を注入することによる、膀胱壁の微小循環の変化ならびに膀胱組織学的変化について検討を行い、膀胱血流の増加、組織学的な変化(金育成分の増加など)などの結果が得られれば、当初の計画予定通り、膀胱内圧測定などを行い、機能的な改善が得られているかの検討を行う予定である。さらには他のモデル(糖尿による低活動膀胱モデル)などでも同様の検討を行い、その差を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定で購入予定であった物品については、シリンジポンプなどの実験器具については、名古屋大学共用のものを使用することができ、新たに購入をしなかった。また27年度に購入予定であったCCD生体顕微鏡 交換用モノクロレンズなどは、次年度(28年)に、研究を行う予定であり、免疫染色、PCRに使用する試料などの消耗品についても、次年度に行う予定となったため、使用額に差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
先述のごとく、27年度使用予定であった(計画書に挙げた)物品ならびに消耗品などは28年度に使用を予定しており、当初の計画通り研究は進めていく為に使用予定である。
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