研究実績の概要 |
当研究室では尿路上皮癌の診断・治療の標的となる特異タンパク質を求めて長年研究してきた。このようなタンパク質をスクリーニングする目的で、尿路上皮癌組織と正常尿路上皮組織とを試料として、プロテオーム解析を行ってきた。本研究の対象にしているGGCT(別名C7orf24, CRF21)も尿路上皮癌で高発現しているタンパク質群のひとつとして同定したものである。前立腺癌細胞株PC-3、LNCaPを用いた予備検討ではGGCTの高発現が観察されたため、前立腺癌治療としてGGCTを標的とした治療が期待できるのではと考え研究を行った。 前立腺癌細胞株LNCaP, PC-3, DU145におけるGGCTの発現をウエスタンブロット法を用いて検討した。それぞれの前立腺癌細胞株においてGGCTの高発現が観察された。 ヒト前立腺癌組織におけるGGCTの発現程度を観察するため、Tissue microarray (TMA)を用いて免疫組織化学的検討を行った。TMAにはヒト正常前立腺組織9切片と、ヒト前立腺癌組織40切片とが1枚の同じプレパラートに含まれており、同じ条件下に免疫染色を行うことでGGCTの発現程度を観察し比較検討を行った。ImageJを用いて代表的病巣でのGGCT高発現領域の割合を測定したところ、ヒト正常前立腺組織9切片のうち2切片で高発現領域の割合が高かったのに対し、ヒト前立腺癌組織では40切片のうち35切片で高発現領域の割合が高かった。前立腺生検や手術摘出で得られた検体を集めてさらなる検討を行うことを計画したが、本研究期間内に試料を集めることができず、検討することができなかった。
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