研究課題/領域番号 |
15K20088
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
角田 洋一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40710116)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎移植 / 免疫プロファイル / バイオマーカー / モニタリング / 拒絶反応 |
研究実績の概要 |
当該年度に腎移植レシピエント24例のリンパ球からmRNAの抽出を行い、「研究の目的」に記載した52遺伝子の中から免疫プロファイルとして使用可能な遺伝子の選別を試みた。免疫プロファイルが可能となれば、多剤併用免疫抑制療法が中心である腎移植において、個人にあったそれぞれの免疫抑制剤の指摘投与量を見い出すことができ、それによって拒絶反応の抑制、免疫抑制剤による副作用や感染症の抑制、ひいては長期生着率の改善につながると考えられた。また現在、拒絶反応の診断には腎生検が施行されているが、患者にとって侵襲的であり、また出血や動静脈ろうなどの合併症が生じたときには移植腎機能の低下を来してしまう。血液中のリンパ球から免疫状態のモニタリングが可能となれば非常に低侵襲であり患者にとっての利益は大きい。まず腫瘍マーカーであるCEAのfamilyであるCEACAM8とCEACAM6についての解析を行った。最初の3例においては免疫抑制状態とよく相関しており、免疫抑制が強くなれば、CEACAM8、CEACAM6の発現が上昇しているという結果が得られた。さらには拒絶反応を発生した症例においては両者の発現が低下していた。しかし、その後の5例においては同様の結果は得られず、発現に一定の傾向は認められなかった。そこで、他の候補遺伝子の発現を評価したが、いずれにおいても発現に一定の傾向は認められなかった。抽出したmRNAの量には限りがあるため、すべての候補遺伝子の発現を調べることは困難であった。そこで発現が低下している候補遺伝子の評価をおこない、IL-5RA、CCR3がプロファイル可能な遺伝子としてあげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、結果が得られていたCEACMA8とCEACAM6であったが、症例数を増やすにつれて傾向がなくなったため、他の候補遺伝子の検索を行う必要が出てきた。いくつかの候補遺伝子の評価を行ったが、いずれも結果を得られなかった。また、当該年度に対象となった腎移植レシピエント24例のなかには拒絶反応を発症した症例がなく、拒絶反応状態でのモニタリングが不可能であった。評価対象となる遺伝子を特定できなかったため、ラット腎移植モデルを用いた実験を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今までは発現が上昇している候補遺伝子の評価を行ったたが結果を得ることができなかったため、発現が低下している候補遺伝子の評価を行う。 評価対象となる遺伝子を特定できれば、臨床経過、プロトコール腎生検結果との関連についての評価を行う。 未治療拒絶反応症例のリンパ球からmRNAを抽出する。 患者から抽出したmRNAの量には限りがあるため、評価する遺伝子を絞った実験を行う。
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