研究課題
超遠心法を用いて尿中からエクソソームが回収できることを、CD9,CD63のウエスタンブロット法、ナノトラッキングシステム、電子顕微鏡を用いて確認した。尿路上皮癌患者6例(表在癌3例、浸潤癌3例)と健常者3例の自然尿40mlから超遠心法を用いてエクソソームを抽出し、エクソソーム内miRNAに対してマイクロアレイを用いた網羅的解析を行った。バイオマーカーの候補miRNAは1)Fold-change(癌患者vs健常者)>2.5、2)p-value<0.1の基準にて選別し、最終的な候補miRNAとして、以下の5つのmiRNA(miR-155-5p,miR-15a-5p,miR-21-5p,miR-132-3pおよびmiR-31-5p)を同定した。別の60例(健常者24例、表在癌18例、浸潤癌18例)のコホートにおいて、qRT-PCR法を用いてこれらの候補miRNAのバイオマーカーとしての検証を行った。結果としてこれらの候補miRNAはいずれも癌患者の尿中エクソソーム内で発現が有意に上昇しており(P<0.001)、また健常者、表在癌患者、浸潤癌患者の3群での比較でも有意な差を認めた(P<0.001)。特にmiR-21-5pを用いた癌診断では感度75.0%、特異度95.8%であり、尿細胞診(感度44.4%、特異度100%)よりも良好な結果であった。また尿細胞診陰性群における解析でも、感度90.0%、特異度87.5%と、尿細胞診陰性の群でも良好な結果を得た。尿中エクソソーム内miR-21-5pは尿路上皮癌の新規バイオマーカーとなり、尿細胞診陰性症例の癌検出にも有用であることが示された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Oncotarget
巻: 8 ページ: 24668-24678
10.18632/oncotarget.14969