研究課題/領域番号 |
15K20091
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
岩本 秀人 鳥取大学, 医学部, 助教 (80621010)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍学 |
研究実績の概要 |
平成27年度研究において、我々はスニチニブ抵抗性ACHNで感受性株(親株)に比べて4倍以上の発現低下を示したmicroRNA194-5p(miR194-5p)を同定した。また、データベースウェブサイトmiRDBにおいて、miR194-5pとリソソーム関連膜蛋白(LAMP)との関連が示唆されていたため、平成28年度はmiR194-5pとLAMP-2との関連を調査することとした。 まず、抵抗性株にmimic miR194-5pで過剰発現させることにより抵抗性が改善するかどうかを調査した。その結果、miR194-5pを導入した細胞株では、基の抵抗性株と比較して、有意にIC50が低下することを確認した。次に、LAMP-2の発現に関する実験を行った。ACHNの抵抗性株と感受性株(親株)のタンパクを用いて、Western blottingを行った結果、抵抗性株では感受性株と比較してLAMP-2の発現が有意に上昇していた。また、抵抗性株とmiR194-5p過剰発現株で同様の比較を行った結果、miR194-5p過剰発現群ではLAMP-2の発現が有意に低下していた。これらの結果より、miR194-5pはLAMP-2の発現を負に制御している可能性が示唆された。続いて、臨床材料として進行性腎癌の摘出腎組織を用いてmiR194-5pの測定を行ったところ、腫瘍部では正常部と比較してmiR194-5pの発現が低下していることが確認された。さらに、パラフィン切片をLAMP-2で免疫染色した結果、miR194-5pとLAMP-2の発現に逆相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スニチニブ抵抗性株の作成に予想以上の時間を要したことが原因と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、in vitroで得られた結果のin vivoへの応用として、実際に抵抗性株をマウス皮下に注射することでスニチニブ抵抗性モデルマウスを作成し、この中でmicroRNA194-5pの発現量を調節することでスニチニブ感受性が得られるかどうかを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より論文の作成が遅れたために、その経費分が繰越となった。
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次年度使用額の使用計画 |
論文投稿に必要な経費として使用する予定である。
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