研究課題
平成27年度の研究では、「ヒト腎癌細胞株での Sunitinib 感受性を決定する microRNA の同定」を開始し、ヒト由来の腎癌細胞株(ACHN、RCC23)においてスニチニブ抵抗性株の作成に成功した。また、スニチニブ抵抗性ACHNにおいてmicroRNA194-5p(miR194-5p)は、感受性株(親株)に比べて4倍以上の発現低下を示すことを確認した。平成28年度の研究では、まずスニチニブ抵抗性株にmimic miR194-5pで過剰発現させることにより、有意にIC50が低下(抵抗性が改善)することを確認した。次に、抵抗性株では感受性株と比較してLAMP-2の発現が有意に上昇しており、miR194-5p過剰発現群ではLAMP-2の発現が有意に低下していたことから、miR194-5pがLAMP-2の発現を負に制御しているという仮説に到達した。また、進行性腎癌の摘出腎組織を用いて、腫瘍部では正常部と比較してmiR194-5pの発現が低下していることが確認され、パラフィン切片の免疫染色を用いて、miR194-5pとLAMP-2の発現に逆相関があることが確認されたことにより、LAMP-2の発現を負に制御しているmiR194-5pの発現が低下することで、腎細胞癌はスニチニブに対する抵抗性を獲得するというメカニズムの存在が示唆された。平成29年度の研究では、これらの研究結果をAUA 2017や第76回日本癌学会学術総会等、国内および海外の複数の学会において発表した。また、これを論文化し海外のJournal(Anticancer Res.およびOncol Letters. )へ掲載された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Oncology Letters
巻: 15(1) ページ: 893-900
10.3892/ol.2017.7423
Anticancer Research
巻: 37(6) ページ: 2985-2992