研究課題
平成28年度は、昨年度に引き続き、REIC遺伝子発現制限増殖型アデノウイルスベクターを用いた治療法の抗腫瘍免疫学的解析をした。さらに、REICによるMDSCの分化抑制に基づく抗癌免疫活性化作用の機序を解明する為の研究を実施した。我々の確立したREIC/Dkk-3ノックアウト(KO)マウスを用いた実験系では、生体内の内在性・機能的REIC/Dkk-3タンパク質の影響を回避することが可能と考え、以下の研究を行った。a) REIC/Dkk-3 KOマウスでのベンゾピレン等を用いた自家発癌モデルを用いて、REIC遺伝子発現制限増殖型アデノウイルスベクターや精製REICタンパク質を腫瘍内局所または全身投与した場合の、腫瘍内・骨髄・全身でのMDSCを含む種々の癌免疫担当細胞の出現動態を解析した。b)上記a)の実験系において、腫瘍局所での癌細胞選択的アポトーシスの誘導や癌細胞増殖、腫瘍血管新生抑制効果、また癌転移抑制効果について解析を行った。さらに、治療効果としての腫瘍増大抑制作用と抗癌免疫活性化作用との相関、ならびに、当該KOマウスの通常と担癌状態、および発癌過程でのMDSCの出現と癌免疫抑制作用との相関性を解析及び検証を行った。本申請研究では、我々が新たに開発したREIC遺伝子発現制限増殖型アデノウイルスベクター(腫瘍融解性Ad-REIC)が、従来のアデノウイルスベクターより強く抗腫瘍効果を認めることを確認し、REIC/Dkk-3タンパク質の機能として抗癌免疫の制御と活性化の面からKey分子を同定することができた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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