研究課題
我々は、mRNAレベルでのEpac1、Epac2発現を定量PCR法を用いて、ヒト正常膀胱組織と膀胱上皮癌由来細胞株kk47 細胞、UMUC3 細胞で比較したところ両癌細胞株で著しい低下を示すことを明らかにした。さらに、我々は患者から摘出した膀胱癌組織と正常膀胱組織においてもEpac1、Epac2の発現比較を行った。その結果、患者由来の癌組織においてもEpac1、Epac2発現のmRNAレベルでの低下を認めた。次に、最初に用いた膀胱上皮癌由来細胞株kk47 細胞、UMUC3 細胞におけるEpac1、Epac2のタンパクレベルでの発現をウエスタンブロット法により確認を行ったがタンパクレベルでの発現は認められなかった。そこで、Epacの活性化を誘導する8-pCPT-2’O-Me-cAMPを培養液に添加し、細胞の増殖における影響を見た。しかしながら、8-pCPT-2’O-Me-cAMP添加による細胞増殖の変化は見られなかった。同時に、8-pCPT-2’O-Me-cAMP添加後の細胞でのEpacの発現をウエスタンブロット法により確認したが、発現を確認できなかった。今後、Epac発現ベクターを用いて、これらの細胞株に安定的にEpacを発現させ癌細胞に及ぼす影響を見る。
3: やや遅れている
研究室の移動に伴い、実験の一時中断などが生じ予定通りの進行がやや遅れてしまった。
癌細胞株でのEpac発現の重要性をEpac発現ベクターによりEpac1またはEpac2を強制発現させる系を用いて、これらの癌細胞の特徴である増殖、分化、細胞接着などに焦点を当て解析を行っていく。さらに、iv vivoでの解析を行うためマウス正常膀胱でのEpacの発現確認を行い、ヒト組織と同様にEpacの発現が正常膀胱で見られるかを検討したのち、Epacシグナル阻害剤であるbrefeldin-A (BFA)の膀胱への投与を行い癌化へのEpacシグナルの関与について研究を行う。EPACの検討とともに、従来知られているcAMPの活性化経路であるPKA活性についても、正常膀胱上皮と膀胱上皮がんについて検討を行う予定である。
研究室の学内移動に伴い、実験の一時中断を行ったため予定していた実験を行うことができず次年度使用額が生じた。
昨年度の遅れていた実験計画の進行と、今年度の実験計画の準備のために使用する。また、今回は学内の研究室の移動の後に、別の大学への赴任が決まり、新たにそこでの研究体制の樹立を行うためにも使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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