研究課題
本年度は昨年度までの研究結果を元に、ヒト前立腺肥大症患者での炎症性サイトカインIL-18、TSP-1などの細胞外マトリックスの発現と組織学的差異の検討と、前立腺肥大症患者におけるIL-18、細胞外マトリックスの発現と臨床初見の検討を行う予定であった。ヒト前立腺組織を用いて、IL-18、TSP-1の発現の検討を行ったところ、IL-18はモデル動物と同様に腺上皮に発現し、TSP-1は平滑筋に発現がみられた。HE染色、マッソントリクローム染色を行い、画像処理ソフトを用いて、前立腺組織中の平滑筋、膠原線維、腺上皮を割合と、IL-18、TSP-1の発現との相関関係を検討した。すると、IL-18の発現と腺上皮の割合に正の相関を認め(r=0.845)、TSP-1の発現と平滑筋の面積の間に正の相関を認めた(r=0.622)。また、前立腺体積、経時的な体積の変化量と、IL-18、TSP-1の発現との相関を検討したところ、前立腺体積とIL-18、IL-18受容体の間には相関は認めなかったが、TSP-1との間に強い正の相関を認めた(r=0.729)。また、前立腺体積増加量とTSP-1との間に強い正の相関を認めた(r=0.717)。これらのことから、TSP-1が前立腺肥大の進行を予測しうる可能性が示唆された。また、症状とこれらの発現との相関の検討を予定していたが、献体や症例が十分集まらず検討することができなかった。今後の研究課題として症例のリクルート、蓄積をすすめていく必要がある。これらの十分数の症例が集まったところで、臨床症状、治療効果とTSP-1の発現との相関を検討していく予定である。
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