研究課題
男性不妊症はわが国の最重要案件の一つであるが、その研究・治療には改善の余地が大きい。私たちはこれまでに男性不妊症の主因である停留精巣において精子幹細胞の機能が低下することを明らかにしてきた。ただし精子幹細胞は単独で精子形成できないことも知られている。その中で、私たちは停留精巣の既往をもつ男性不妊症患者の精巣ではセルトリ細胞単独症(Sertoli Cell Only syndrome;SCO)をしばしば認めることを臨床病理の結果からえた。すなわち停留精巣のような先天的に造精機能障害のリスクを内包する疾患の一部にはセルトリ細胞の機能異常があることが推察された。私たちはこれまで行ってきた研究成果をふまえた上で、男性不妊症での精子幹細胞の分化異常とセルトリ細胞の機能変動の関連について解析を行ってきた。造精機能障害におけるセルトリ細胞機能、精子幹細胞活性および精子形成との関連を解析するのに、当初は停留精巣モデル動物を用いた研究から開始することを考えていたが、より実臨床に近い成果を得るため、ヒト手術検体を用いた研究を行った。その結果、将来的に造精機能障害を引き起こすことが知られている停留精巣組織では幼少期からすでに造精に強く関与する精子幹細胞関連遺伝子であるUTF1(undifferentiated embryonic cell transcription factor 1)遺伝子の発現が低下していることが明らかになった。さらに成人期の男性不妊症患者精巣の検討で、セルトリ細胞の成熟異常が精子幹細胞のアポトーシスを惹起する物質をセルトリ細胞自身が産生することを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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