研究課題
遺伝因子の研究には、近交系マウスが用いられることが多く、わずかな遺伝的差異が生じた亜系統の存在も報告されている。本研究は、マウス亜系統の遺伝学的な差による尿路結石形成への影響を検討することで、新たな尿路結石関連遺伝子の同定を行う。また、同定した疾患関連遺伝子の検討および機能解析を行い、尿路結石の新たな病態解明および治療・予防法の開発を目的とする。平成27年~29年度の成果として、①C57BL/6亜系統であるB6JとB6Nに対し、グリオキシル酸80mg/kgを連日腹腔内投与した後、尿路結石形成量を偏光顕微鏡にて比較し、B6Jは有意に結石形成量が多いことを確認した。②B6JとB6Nの亜系統間において、遺伝学的に差のある6遺伝子(Naaladl2、Aplp2、Lims1、Fgf14、Snap29、Nnt)について、腎における発現量を定量PCR法にて比較し、NntにおいてB6Jは有意に発現量が低下していることを確認した。③亜系統マウスを用いた尿路結石モデルマウスを作成し、採取した腎をメタカンにより固定し、ROS assay kitを用いた免疫染色でのROS活性の検討を行った。④尿路結石抑制遺伝子候補であるNntについて、遺伝子全長のクローニングを行った。⑤Nnt遺伝子について、pGEM-T easy vectorに導入し、cloning vectorを作製した。⑥Nntタンパク質の発現について、Western blotおよび免疫染色にて確認し、B6Jでは発現が欠如していることを確認した。⑦亜系統マウスを用いた尿路結石抑制遺伝子の同定について、米国泌尿器科学会にて報告を行った。⑧Nnt遺伝子によるマウス亜系統の腎結晶沈着への影響について、Urolithiasis誌に論文報告を行った(Epub ahead of print)。
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