研究課題
平成27年度は、PI3K/Akt/mTORシグナリングと、プロラクチン受容体(PRLR)/STAT5/PIM1シグナリングの相互依存的な関係の検討を行ってきた。当実験において、ホルモン感受性前立腺癌細胞株LNCaPおよび当教室において樹立したドセタキセル耐性前立腺癌細胞株C4-2AT7を使用した。細胞増殖アッセイにより、C4-2AT6はドセタキセル耐性を有していることが明らかになった。また、Western blot法では、C4-2AT6においてドセタキセル投与後にAktシグナルの増強を認めていた。ドセタキセル投与によるPRLR/STAT5/PIM1シグナルの変化は明らかでなかったが、STAT5阻害剤である573108、PIM1阻害剤であるAZD1208は、それぞれドセタキセルとの併用投与において、C4-2AT6のドセタキセル感受性を回復させた。また、ARシグナル経路との相互依存的な制御機構を検討するため、新規アンドロゲン受容体拮抗薬であるMDV3100を用いて検討を行ったが、C4-2AT6はMDV3100に対して完全耐性を有しており、PI3K/Akt/mTORシグナリングおよびPRLR/STAT5/PIM1シグナリングの疎外においても、感受性を回復させることはできなかった。
2: おおむね順調に進展している
昨年度PI3K/Akt/mTORシグナリングと、PRLR/STAT5/PIM1シグナリングの相互依存的な関係を探索し、前立腺癌細胞株においてドセタキセルの投与によりPI3K/Akt/mTORシグナリングが活性化し、ドセタキセル耐性となること、PRLR/STAT5/PIM1シグナリングの疎外によりドセタキセル感受性を回復させることを明らかにした。本年度さらなる検討を重ねていく予定である。
申請者は以下3点を検討項目とした。1. 前立腺癌細胞内におけるPRLR/STAT5/PIM1発現量の解析2. 前立腺癌微小環境におけるPRLR/STAT5/PIM1シグナリングとAR axis, PI3K/Akt/mTORaxisとの相互依存的なフィードバック機構の解明3. 相互依存的シグナリング機構をターゲットとした新規治療戦略の確立昨年度に引き続き、前立腺癌細胞株におけるPI3K/Akt/mTORシグナリングと、PRLR/STAT5/PIM1シグナリングの相互依存的な関係を探索するとともに、ヒト臨床検体、動物実験においても相互依存的なシグナリング制御機構につき検討していく予定である。
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Clinical Genitourinary Cancer
巻: Epub ahead of print ページ: in printing
10.1016/j.clgc.2016.02.014.
巻: 14 ページ: 215-8
10.1016/j.clgc.2015.12.028