• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

ゲノムワイドなアンドロゲンシグナル解析による前立腺癌去勢抵抗性獲得機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K20116
研究機関日本大学

研究代表者

芦苅 大作  日本大学, 医学部, 助手 (70748053)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード前立腺癌 / アンドロゲン / 治療抵抗性
研究実績の概要

本年度は新規アンドロゲン応答遺伝子候補: androgen responsive gene(以下ARG)の前立腺癌細胞におけるアンドロゲン作用について検討を行った。アンドロゲン受容体(AR)陽性前立腺癌細胞株LNCaPを用いたChIP-sequenceのデータよりARGの転写開始点近傍に2ヶ所のアンドロゲン受容体応答配列(ARE)が存在することが確認された。その配列へのARの結合、及びそのARの結合により転写が活性化されARGがアンドロゲン応答性に発現上昇するかを確認するために、AR結合領域を含むLuciferase-constructを作製した。LNCaPにトランスフェクションさせvehicle処理群とdihydrotestosterone(DHT)処理群に分けLuciferase assayを行ったところ、DHT処理群において有意に転写の活性化が起きていることを確認できた。さらにこの候補配列にmutationを入れたconstructを作成し、前述と同様の方法でLuciferase assayを施行するとmutationを入れることによりDHTによる転写の活性化は消失することが確認できた。また同配列へのAR結合能をElectrophoresis mobility shift assayを用いて評価した。この結果、2カ所のAREに確かにARが結合することが明らかとなり、それぞれの配列へのARの結合がアンドロゲン依存的な転写の活性化に重要な働きをしていることが明らかとなった。またARGに対するプライマーを設計しqRT-PCR法により、vehicle処理群及びDHT処理群に分けて発現レベルを定量化したところ、アンドロゲン応答性にmRNAの増加が認められた。さらに抗アンドロゲン剤処理することにより、DHT依存的な発現上昇は消失し、ARGのアンドロゲン応答性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AR陽性前立腺癌細胞を用いてゲノムワイドにAR結合部位をシークエンス検索し、新規のアンドロゲン応答候補遺伝子(ARG)を同定した。ARGは転写開始点近傍に2ヶ所のAREを持ち、同配列にARが結合することによりアンドロゲン依存的な転写の活性化が起きていることが明らかとなった。さらに抗アンドロゲン剤処理することにより、DHT依存的な発現上昇は消失し、ARGのアンドロゲン応答性を明らかとすることができた。これらの結果より本研究はおおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

前立腺癌細胞内におけるARGの機能を検討するため、ARG安定過剰発現細胞株を樹立し細胞増殖能や遊走能に与える影響、治療抵抗性獲得の関与などについて検討する。また配列特異的なsiRNAを設計しARGの発現抑制系における細胞増殖能や遊走能に与える影響について検証を行う。標的の抑制方法としてsiRNAばかりでなく、特定のDNA 配列に結合するピロール・イミダゾール(PI)ポリアミド分子を用いて、ARGの転写因子結合部位に結合するように設計し、遺伝子特異的な発現抑制も試みる。この分子による抑制効果を検討することでPIポリアミドの新たな治療薬としての可能性を検討することができる。さらにヌードマウスを用いた実験系でin vivoにおけるARGの機能解析をsiRNAやPIポリアミドを用いて抑制することで、新規治療標的となりうる可能性などについて検討する。またヌードマウスより得られた腫瘍組織の一部はパラフィン包埋し免疫組織化学染色にて組織学的に機能解析、検討を行う。
臨床病理検体(ヒト前立腺癌組織)を用いてARGなどの標的遺伝子の免疫組織化学染色を行い、cancer specific survivalやPSA free survivalなどについて検討を行う。病理組織学的悪性度やPSA、pathological T stage、pathological N stageなどの臨床的パラメータとの相関についても検討する。
さらに去勢抵抗性前立腺癌細胞株における標的遺伝子の発現レベル及びアンドロゲン応答性などについてqRT-PCRやWestern Blotting法などを用いて検証を行い、治療抵抗性の獲得やドセタキセル耐性化に関わる因子や予後予測因子、分子マーカーとしての臨床応用などについて解析、検討していく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 前立腺癌の分子マーカー研究の現況2016

    • 著者名/発表者名
      芦苅 大作, 高橋 悟
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 74 ページ: 50-54

  • [学会発表] 前立腺癌におけるp53制御を担う新たなアンドロゲン作用メカニズム2016

    • 著者名/発表者名
      芦苅 大作, 高山 賢一, 浦野 友彦, 高橋 悟, 井上 聡
    • 学会等名
      第89回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-04-21 – 2016-04-23
  • [学会発表] 新規アンドロゲン応答遺伝子G3BP2を介した前立腺癌における治療抵抗性獲得機序の解明2015

    • 著者名/発表者名
      芦苅 大作, 高山 賢一, 浦野 友彦, 大日方 大亮, 井上 聡, 高橋 悟
    • 学会等名
      第103回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      金沢都ホテル(石川県金沢市)
    • 年月日
      2015-04-18 – 2015-04-21

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi