研究課題/領域番号 |
15K20118
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
上村 慶一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (70446079)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 前立腺幹細胞 / 前立腺神経内分泌細胞 / 前立腺基底細胞 / 免疫染色 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究では、マウスの前立腺組織を用いて前立腺の基底細胞に存在すると言われている前立腺幹細胞の局在や神経内分泌細胞の局在を免疫組織科学染色を用いて検証している。近年、前立腺幹細胞としてSca1(+) CD49f(+)Trop2(+)陽性細胞とSca1(+)CD44(+)CD133(+)CD117(+)陽性細胞が候補として考えられている。さらに、単離されたCD117陽性細胞1個から前立腺組織を再生できるとの報告もあり、その細胞の局在は非常に重要であると考えているが明らかにされていない。前立腺の幹細胞はその基底細胞に存在すると考えられているが、Sca1(+) Trop2(+)細胞は前立腺部尿道近傍の導管分泌上皮細胞に陽性であり、さらにCD49fは基底細胞外側の基底膜に陽性を示し従来言われてきたものと異なる結果が得られている。それらの細胞と上皮や間質との位置関係を調べるために、上皮細胞のマーカーであるサイトケラチン8(分泌上皮細胞に特異的に染色される)とサイトケラチン5(基底細胞に特異的に染色される)、間質細胞のマーカーであるα-smooth muscle actinやVimentin、基底膜や筋膜に特異的なマーカーであるlamininとの多重染色も行っている。 CD117は、尿道平滑筋内に存在し細い筋状に延びる細胞に陽性である。しかし、前立腺内部における局在は詳細に検証を行っている段階である。また、CD44やCD133陽性細胞の局在は詳細に検証中であり、現時点では結果は出ていない。 また、神経内分泌のマーカーであるchromograninA, serotonin, synaptophysin, NSE等に陽性となる細胞の局在も調べている。 上記の細胞の局在を免疫染色を用いて明らかにすることによって、その細胞をターゲットとしたFIB/SEMによる観察を詳細に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床との兼ね合いもあり、時間的な制約が多くなってしまった。また、年度の前半は電子顕微鏡で前立腺組織の検証を行ったが、ターゲットとなる細胞を絞り込めなかったために研究が思うように進まなかったことも進捗状況に影響を及ぼした。現在は免疫染色でターゲットを絞り込んでいる状況であり、平成27年後半より研究の進む速度が上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の免疫染色で、前立腺の幹細胞や神経内分泌細胞の局在や分布を明らかにする。そして、そのターゲットなる細胞を詳細に観察するために電子顕微鏡を用いる。まずは表面観察で細胞の詳細な局在を観察した後に、FIB/SEMを用いて細胞の3D再構築を行う。3Dで細胞を観察することで、その細胞の形態や周囲臓器や組織との位置関係を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物や試薬(抗体等)の購入額が当初の予定額よりも安く抑えられたため、その差額が繰越金となってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在行っている前立腺組織の免疫染色に使用する実験動物や抗体等に使用する予定である。 また、前立腺の超微細構造を確認するために用いる電子顕微鏡のラーニングコストにも使用する計画である。
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