これまでの研究総括として、男子尿道炎患者約400症例、尿道炎症状の無い男性約160症例の各々の尿中の病原微生物検出比較解析と、アデノウイルス性尿道炎における検出型の比較、症状消失期間とウイルス排出量・ウイルス分離期間の解析も行った。 その結果、尿道炎症状を有する群において有意にアデノウイルスが分離同定され、咽頭炎や結膜炎との関連も明らかとなった。特に、流行性角結膜炎との関連が強く示唆された。さらに、尿道炎症状が消失後も分離可能なアデノウイルスが多量に尿中に排出されていることも明らかとなった。 アデノウイルス性尿道炎の症状は、他の病原体による尿道炎と比較して、痛みが強いが膿等は生じす、1週間から10日程度で痛みは消失する。治療薬はないが、症状消失後も感染可能なウイルスを尿中に大量に排出することから、環境の管理や患者への周知が重要であることが明らかとなった。 現在、研究期間全体のまとめとして、およそ700症例の尿道炎患者の尿等に含まれている病原微生物の検出状況と詳細な患者情報を組み合わせた比較を行っている。
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