研究実績の概要 |
最終年度はC57/B6(B6)マウス雌40匹、雄8匹、B6D2F1(BDF1)マウス雌36匹、雄10匹したIVFによる胚の作成と、ICR雌マウス29匹を使用して20周期の胚移植を行った。 昨年度から継続した実験として、CERMsによる受精卵質評価の安全性の検証のため胚移植を行ったレシピエントを満期まで継続させてF1生仔を獲得した。続いて妊孕性の確認のためF1の交配を行いF2産仔も得られることがわかった。これら生仔において、外表奇形や行動異常は見られなかったことから、現時点では受精卵呼吸量測定装置使用による胚の発育や産仔の生殖能力への影響はないと考えている。 なお、昨年の検討から集合胚において呼吸測量とATP量は有意な強い相関(P<0.05, 相関係数: 0.533)をみとめたため、以後のCERMsによる胚呼吸量の測定は集合キメラ胚で行った。ATP以外の胚の生存性を確認するバイオマーカーとして細胞数カウントをおこなった。 胚呼吸量と全細胞数は有意な強い相関(P<0.05, 相関係数: 0.549)をみた。内細胞塊数においては有意な相関はみられなかったが、呼吸測量の多い胚は、内細胞塊数が多い傾向にあった(ピアソンの相関係数)。胚呼吸量とミトコンドリア遺伝子コピー数の検討は、ミトコンドリア遺伝子コピー数と胚呼吸量には有意な相関はみられなかった。呼吸量とミトコンドリア膜電位に関しては撮像が終了しており、画像の定量化解析を準備中である。最後に受精卵の呼吸量と着床率の検討に関しては、 移植した全てのレシピエントの12.5dpcでの開腹が終了していないが、現在のところ胚呼吸量と着床数、胎児数、流産数(着床痕)の相関は認めていない。
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