子宮内膜症患者の腹腔内貯留液を回収して、そのBDCA1陽性樹状細胞のサブセットを解析した。CD206陽性細胞の割合が子宮内膜症患者に多いことは既知であったため、CD206陽性細胞と陰性細胞とのサブセットを比較した。Type-Cレクチンである、CLEC1、CLEC2、Dectin-1、Dectin-2などの表面抗原を、フローサイトメトリーを用いて比較した。CD206陽性細胞とCD206陰性細胞とにおいて、表面抗原の発現のMFIを比較したが、有意な差はみられなかった。そのため、子宮内膜症において増加している樹状細胞は、抗原認識能そのものが高い樹状細胞ではなく、CD206に特化した機能が病因として存在すると考えられた。また、ヒト末梢血から単球を単離して、G-CSF存在下で培養して、Monocyte derived dendritic cell(MoDC)を作成した。MoDCの細胞表面のマンノース受容体を、D-mannanを培養下に加えてブロックし、子宮内膜細胞と共培養をした。D-mannan投与群では、非投与群に比べて、CD206の発現が低下するのと並行して、子宮内膜細胞の貪食能が低下することも明らかになった。先行研究によって、子宮内膜細胞の貪食により、樹状細胞が炎症性サイトカインを分泌して子宮内膜症の増悪に寄与すると示されており、腹腔内のCD206をターゲットにした治療が、子宮内膜症に有効である可能性が示された。
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