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2016 年度 実績報告書

卵巣癌においてベバシズマブ抵抗性をもたらす腫瘍免疫抑制機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K20140
研究機関京都大学

研究代表者

安彦 郁  京都大学, 医学研究科, 助教 (20508246)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード卵巣癌 / 抗腫瘍免疫 / 骨髄由来制御性細胞
研究実績の概要

卵巣癌において、抗VEGF抗体ベバシズマブが使用されるが、治療抵抗性の症例も存在する。薬剤耐性のメカニズムの解明が重要である。
抗VEGF抗体治療による腫瘍免疫の変化を調べるため、HM-1細胞株を用いて作成したマウス卵巣癌免疫正常モデルに対し、マウス抗VEGF抗体による治療実験を行ったところ、治療抵抗性に腫瘍が増大した。フローサイトメトリーを用いて抗体投与後の腫瘍の免疫状態を解析したところ、投与していない腫瘍に比べMDSC(骨髄由来制御性細胞、myeloid-derived suppressor cells)が増加し、一方でCD8陽性T細胞が減少しており、抗腫瘍免疫が抑制されていた。また、抗VEGF抗体投与後の腫瘍において低酸素マーカーであるピモニダゾール陽性領域が有意に多く、抗VEGF抗体治療により腫瘍内に低酸素環境が誘導されることがわかった。サイトカインアレイによると、抗VEGF投与後の腫瘍では、MDSCの誘導因子であるGM-CSFの発現が亢進していた。卵巣癌細胞株においても低酸素培養条件でGM-CSFの発現が亢進した。マウス卵巣癌モデルに対し、抗GM-CSF抗体と抗VEGF抗体の併用治療を行ったところ、有意に腫瘍縮小効果を認め、腫瘍内MDSCも有意に減少した。
以上より、抗VEGF抗体投与により低酸素環境に暴露された腫瘍細胞がGM-CSFを産生し、MDSCを誘導することで抗VEGF抗体抵抗性となっていることが示唆された。GM-CSFを標的とする治療は卵巣癌における抗VEGF抗体耐性を克服できる可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 卵巣癌における抗VEGF抗体耐性には、GM-CSFを介したMDSCによる免疫抑制が関与する2017

    • 著者名/発表者名
      堀川直城、安彦郁、濱西潤三、馬場長、山口建、村上隆介、松村謙臣
    • 学会等名
      第5回婦人科がんバイオマーカー研究会学術集会
    • 発表場所
      大阪医科大学本部北キャンパス講堂
    • 年月日
      2017-02-25
  • [学会発表] 卵巣癌における抗VEGF抗体耐性には、低酸素誘導性のMDSC浸潤が関与する2016

    • 著者名/発表者名
      堀川直城、安彦郁、濱西潤三、馬場長、山口建、吉岡弓子、小西郁生、松村謙臣
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
  • [学会発表] 卵巣癌における抗VEGF抗体耐性には、低酸素誘導性のMDSC浸潤が関与する2016

    • 著者名/発表者名
      堀川直城、安彦郁、松村謙臣
    • 学会等名
      第32回京都がん研究会
    • 発表場所
      京都教育文化センター
    • 年月日
      2016-09-16

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公開日: 2018-01-16  

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