研究課題
①網羅的蛋白質発現解析によりプラチナ耐性卵巣癌細胞株において高発現している候補蛋白質としてCD27を選別した。②卵巣癌細胞株A2780の親株ではCD27の発現を認めず、A2780 シスプラチン耐性株(以下A2780-Cis株)ではCD27の強発現を認めた。A2780-Cis株と同株に対してCD27をsiRNAに対してノックダウンした細胞株を比較検討し、プラチナ耐性の機序を検討した。③シスプラチン投与後のICP-MS法による細胞内プラチナ濃度の比較、Western Blotting法による細胞内シグナル解析、プラチナトランスポーターの発現の変化を比較したが変化を認めなかった。④プラチナ耐性卵巣癌細胞株での解析が困難な可能性を考慮し、CD27を発現している他癌種に変更し、以降の解析を行った。細胞株として、子宮平滑筋肉腫細胞株SK-LMSにおいてCD27の発現を検討したところ強発現を認めため、SK-LMS細胞株を以降の解析に用いた。SK-LMS細胞株に対して、CD27をsiRNAを用いノックダウンしたところシスプラチンのIC50(50%阻害濃度)が17.2μMから5.4μMへと有意に低下し (p<0.01)、CD27は他癌種においてもプラチナ耐性と関連していることが証明された。in vivo やより詳細な解析を行うためにCD27のshRNAをSK-LMS細胞株に対して遺伝子導入し、CD27の発現を恒常的に抑制したSK-LMS 細胞株を樹立した。本研究期間において、CD27のプラチナ耐性を誘導する機序の解明とin vivoの解析を行うことができなかったため、今後さらに解析を続ける予定である。また、CD27の阻害剤を作成し、CD27を治療標的とした治療法を開発していく予定としている。
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