研究課題/領域番号 |
15K20143
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
片桐 浩 島根大学, 医学部, 研究員 (40609319)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 癌 / ゲノム / 癌遺伝子 |
研究実績の概要 |
本邦での卵巣癌における明細胞腺癌の発生頻度は24.8%であり、30年間で約5倍に増加している。卵巣明細胞腺癌は白金製剤を主体とする現在の化学療法に抵抗性で、極めて予後不良であるが、その分子生物学的特徴はほとんど解明されていない。今後、治療成績向上のためには、卵巣明細胞腺癌の分子生物学的特徴を解明し、その特徴にターゲットを絞った創薬が必要と考えられる。申請者らの研究グループはJohns Hopkins 大学との共同研究で卵巣明細腺癌においてchr20q13.2に34%の頻度で遺伝子増幅があり、そのDriver geneがZNF217である事を同定した。更に卵巣明細胞腺癌において、20.0%(12/60)にZNF217のgene amplificationを認め、ZNF217の gene amplificationを起こしている症例は初回化学療法後の無増悪生存率、全生存率について多変量解析において有意な予後因子と考えられた。 卵巣明細胞腺癌におけるZNF217 amplificationとオートファジー、エンドサイトーシスに関与するBeclin-1タンパク質との関連を検討したところ、Beclin-1未発現群とZNF217は有意な相関を認めた。我々は卵巣明細胞腺癌症例において、Beclin-1タンパク質未発現は有意に予後不良であることを発見した。更に卵巣明細胞腺癌細胞株をBeclin-1SiRNAでknock downしたところ細胞増殖能が有意に亢進することから、卵巣明細胞腺癌の悪性化に関与していると考えられた。ZNF217 amplicifationとBelin-1タンパク質未発現との関連は現在のところ明らかではなく、今後の検討が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、Beclin-1たんぱく質の機能について検討しておりZNF217の機能解析は進んでおりません。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、卵巣明細胞腺癌におけるZNF217、Beclin-1の機能解析を進めていく予定である。 ②ZNF217、BECN1の遺伝子導入実験による腫瘍増殖能、腫瘍産生能の確認 ③ZNF217の遺伝子導入実験による細胞遊走能、浸潤能の検討 ④ZNF217, BECN1の制御遺伝子の網羅的検索、パスウェイの解析 ⑤ ZNF217、BECN1の直接制御遺伝子の網羅的検索
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次年度使用額が生じた理由 |
ZNF217についての遺伝子導入実験を今年度開始できなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、遺伝子導入実験に必要な試薬、機材について研究費を使用する予定である。更にマイクロアレイ法を用いた遺伝子の網羅的解析にも研究費を使用する予定である。
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