研究課題
申請者らの研究グループはJohns Hopkins 大学との共同研究で卵巣明細腺癌においてchr20q13.2に34%の頻度で遺伝子増幅があり、そのDriver geneがZNF217である事を同定、ZNF217の gene amplificationを起こしている症例は初回化学療法後の無増悪生存率、全生存率について多変量解析において有意な予後因子と考えられた。初年度からの研究で、我々は卵巣明細胞腺癌におけるZNF217 amplificationとautophagyに関与するBeclin-1 proteinとの関連を検討したところ、Beclin-1未発現群とZNF217 amplificationは有意な相関を認め、更にBeclin-1未発現群は有意に予後不良であることを発見した。その後、甲状腺癌等で予後因子であるという報告があるTERT(Telomerase reverse transcriptase)promoter mutationについて、卵巣明細胞腺癌におけるZNF217との関連があるか検討を行った。卵巣明細胞腺癌の16%にTERT promoter mutationを認めるとの海外の報告があったが、日本人での症例ではmutationの頻度は2.5%(1/40)と低く、ZNF217との関連について解析はできなかったが日本人での卵巣明細胞腺癌のTERT promoter mutation は非常に稀であることを報告した。卵巣類内膜腺癌、高異形度漿液性腺癌では検討した範囲でTERT promoter mutation症例は認めなかった。そして癌抑制遺伝子であるPTEN 変異においても日本人の卵巣明細胞腺癌では66% (6/9)と海外の報告(20%) より変異の率が非常に高く、日本人の明細胞腺癌は海外の症例と分子生物学的に異なる可能性が示唆された。
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european journal of gynecologic oncology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
oncology letters
巻: 15 ページ: 1170-1176
10.3892/ol.2017.7379