研究課題
LHサージによる黄体化に伴い、卵巣顆粒膜細胞ではプロゲステロン合成に働く酵素であるCyp11a1が急激に発現する。この短時間での巧妙に制御されたステロイド合成関連蛋白酵素の遺伝子発現調節において、遺伝子プロモーター領域のヒストン修飾やクロマチン構造変化といったエピジェネティックな調節機構が関わっていることが報告されている。本研究では黄体化に伴うCyp11a1の発現制御にエピジェネティックな調節機構が関わっているかを明らかにし、さらにはその調節機構を変化させる細胞内情報伝達経路を解明することを目標とした。平成27年度は、LHサージから排卵までの卵巣顆粒膜細胞の黄体化に関して、Cyp11a1プロモーター領域におけるDNAメチル化状態の変化をBisulfite genomic sequencing法で、ヒストン修飾の変化をChIP assayで解明し、エピジェネティクス変化に伴うクロマチン構造変化をDNase I chromatin accessibility assayを行い解明した。さらに、Cyp11a1プロモーター領域において結合が変化する転写因子とリクルートされるヒストン修飾酵素をChIP assayを用いて同定した。平成28年度は、顆粒膜細胞の培養実験により、LH刺激によるCyp11a1プロモーター領域のヒストン修飾変化を確認し、以前に同定したヒストン修飾酵素のリクルートに細胞内情報伝達系としてERK1/2が関与することを、ERK1/2阻害剤(U0126)を用いて明らかにした。また、in vivo実験においてCyp11a1発現制御に関与すると同定されたC/EBPβに関して、ルシフェラーゼ解析を行い転写活性を有していることを解明した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Endocrinology
巻: 157 ページ: 3344-3354
10.1210/en.2016-1264