研究課題/領域番号 |
15K20149
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安岡 稔晃 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (60648624)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん免疫 / 婦人科がん / 免疫逃避 |
研究実績の概要 |
申請者らは、これまでに、腫瘍抑制因子meninを特異的に欠損したCD8陽性T細胞では、野生型と比べ早期に細胞障害能が減弱し、PD-1、CTLA-4、T-cell immunoglobulin domain and mucin domain 3 (Tim-3)、Lymphocyte-activation gene 3 (LAG-3)、2B4(CD244)などの抑制性受容体の協調的な発現上昇が誘導されることを見い出している。野生型と腫瘍抑制因子meninを特異的に欠損したCD8陽性T細胞のナイーブT細胞の培養条件を、代謝調節薬を用いてT細胞の代謝調節を行うことでこれらの抑制性受容体の発現が減少することを確認した。また、Menin欠損によるAP-1やRelAの活性化変化の影響をHEK293細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイを行い、AP-1ファミリーやRelAのプロモーター活性を中心にMeninの下流の分子の機能スクリーニングを行った。また、胸腺腫やメラノーマの担癌マウスモデルにおいて、T細胞特異的にmeninを欠損したマウスでは、野生型と比較し腫瘍免疫反応が減弱するが、移入するT細胞の培養をする際の代謝調節により、腫瘍免疫反応を一部回復させることも確認した。 これらの知見を基盤とし、がんの免疫抑制性環境において誘導される、協調的な抑制性受容体の発現を介したT細胞の機能不全のメカニズムを担癌マウスモデルを用いて解明し、より効果の期待できる腫瘍免疫の再活性化法を提唱することを目的にさらに研究を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
担癌マウスモデルにおいて移入するT細胞の培養を行う際に代謝調節を行うことで腫瘍拒絶反応を一部回復させられることは確認できており、またMenin欠損によるAP-1やRelAの活性化変化の影響を中心に解析する。ChIPシークエンスを行い、Meninと協調してグルコース代謝/グルタミン代謝に関与する酵素などの標的遺伝子を網羅的な解析は、予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
Menin欠損CD8陽性T細胞をモデルに、まず、抑制性受容体の協調的な発現制御機構の存在とその分子機構をエピジェネティックな側面から明らかにする。次に、Meninの機能ドメインを代謝変化やエピジェネティックな側面からも網羅的に探索し、低分子化合物による抑制性受容体の協調的発現抑制の可能性についてさらに検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文を投稿しているが年度をまたいで追加実験を再提出しなくてはならない可能性が高く、投稿にかかる費用や追加実験を行うために購入する物品の目処が立たない状況であった。そのためそれらの購入代金は次年度に使用する必要があった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、学会発表の旅費や追加実験に必要な物品購入に使用する予定である。
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