研究課題
申請者らは、これまでに、腫瘍抑制因子 menin を特異的に欠損した CD8 陽性 T 細胞では、野生型と比べ早期に細胞障害能が減弱し、PD-1、CTLA-4、Tim-3、LAG-3、2B4(CD244)などの抑制性受容体の協調的な発現上昇が誘導されることを見い出している。また、胸腺腫の担癌マウスモデルに おいて、T細胞特異的に menin を欠損したマウスでは、野生型と比較し腫瘍免疫反応が減弱することも確認している。これらの結果は、T 細胞特異的 Menin 欠損マウスの CD8 陽性 T 細胞が、 がんの免疫抑制性環境におけるT細胞疲弊・老化解析のモデルになる可能性を示唆している。また、申請者らのグループでは、CD4 陽性T細胞において、Menin は、Bach2 の発現制御を介して老 化形質や炎症性形質を誘導することを報告している。現在まで申請者らはT細胞特異的Menin欠損マウスにおいてCD8陽性T細胞のメタボローム解析を行っており、グルコース代謝/グルタミン代謝がともに亢進するという結果を得ていることから、代謝経路過剰活性化のT細胞疲弊・老化における役割を解析した。ChIPシークエンスを行い、Meninと協調してグルコース代謝/グルタミン代謝に関与する酵素などの標的遺伝子を網羅的に解析した。マウスの脾臓から単離したナイーブCD8陽性T細胞をin vitroで活性化し、Meninと協調して働く酵素を阻害する薬剤存在下で培養し、そのサイトカイン産生あるいは抑制性受容体の発現の解析を行い、エフェクター機能を調節できることを確認した。今後はこれらの知見をもとにより効果の大きい腫瘍免疫の再活性化法を研究を行っていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
PloS one
巻: 11 ページ: e0157395
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0157395
The Journal of immunology
巻: 197 ページ: 4079-4089
https://doi.org/10.4049/jimmunol.1502295