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2017 年度 実施状況報告書

EpCAM陽性の癌幹細胞を標的とした分子標的薬による難治性卵巣癌の新たな治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 15K20151
研究機関熊本大学

研究代表者

本原 剛志  熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (10457591)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード卵巣癌 / 癌幹細胞 / EpCAM陽性細胞
研究実績の概要

近年、悪性腫瘍の治療抵抗性において、癌幹細胞が重要な役割を担っていることが示されている。最近の研究結果から、従来の細胞障害性の抗癌剤や放射線治療は細胞分裂、増殖が活発な癌前駆細胞あるいはより分化した癌細胞を標的としており、腫瘍組織の階層性の頂点に位置する癌幹細胞の根絶には至っていないことが示されている。
われわれはこれまでの研究結果から、マウス卵巣に存在する幹細胞様の特性を有する細胞に特定の遺伝子操作を加えることにより、自己複製能と多分化能に加え、免疫能が正常のマウスに対して腫瘍形成能を示すマウス卵巣癌細胞の樹立に成功している。そして、それらの細胞において、上皮細胞接着分子Epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)が癌幹細胞マーカーとして,機能していることを明らかにした[Motohara T, et al. Carcinogenesis.32:1597-1606,2011]。樹立した卵巣癌マウスモデルを用いた in vivoの解析の結果、抗癌剤をマウスの腹腔内に投与することで、腫瘍の縮小効果がみられる一方で、縮小した腫瘍組織においては、EpCAM陽性細胞の割合が著しく増加する現象が示された。つまり、EpCAM 陽性の卵巣癌幹細胞は抗癌剤治療抵抗性に関与していることが明らかとなった。
今回われわれは、EpCAM陽性の癌幹細胞に対する分子標的薬を用いることで、卵巣癌幹細胞を標的とする新たな治療戦略の開発を目指し解析をすすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに行った詳細な解析の結果から、EpCAM陽性の腫瘍細胞を標的とする新規分子標的治療薬であるAdecatumumabを用いることで、EpCAM 陽性の卵巣癌幹細胞に対する抗腫瘍効果が明らかにされた。
以上のように、非常に興味深い結果、新しい知見が得られており、研究は順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

上述したように、卵巣癌幹細胞に対するAdecatumumabの有効性が明らかにされており、今後はAdecatumumab 単独群およびAdecatumumab と抗癌剤とを併用した群において、腫瘍縮小効果についての解析を行う予定である。それらの結果を解析しつつ、研究結果を論文としてまとめる計画をすすめている。

次年度使用額が生じた理由

この度、申請者は2017年10月1日から、癌研究のためにイギリスのオックスフォード大学に海外留学をしている(2018年9月30日までの予定である)。そのため今回、次年度使用額が生じることとなった。今後の実験計画として、マウスモデルを用いたin vivoでの解析を行い、分子標的薬単剤あるいは既存の抗癌剤と併用することで、それぞれの抗腫瘍効果を検討する計画を立てている。助成金の使用計画の主なものとしては、動物実験に使用するマウスや動物飼育、その他薬剤にかかる費用である。

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公開日: 2018-12-17  

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