昨年度、申請者はHOXD9がHPV16型のプロモーターであるP97プロモーターを介して癌遺伝子であるE6/7の発現を制御することを示した。本年度はHOXD9が直接P97プロモーターに結合するのか、何らかの因子を介して間接的に作用するかを検討した。 HPV16型陽性細胞であるSiHa細胞株を用いてChromatin immunoprecipitation assay (ChIP assay)を行った。当初、抗HOXD9抗体を用いて免疫沈降を試みたが、HOXD9を検出することができなかった。このため、SiHa細胞株にc-Mycで標識したHOXD9を遺伝子導入し、2日後にanti-c-Myc antibodyを用いてChoromatin Immunoprecipitation assayを行ったところ、HPV16型のE6 E7プロモーターであるP97プロモーターを検出した。以上より、HOXD9はHPV16型およびHPV18型のE6/7 プロモーター領域に直接結合して、E6/7遺伝子の発現を促進することが示された。 次に、HOXD9が単独でP97プロモーターに結合するかを検討した。HOXD9を発現していない細胞株293T細胞にHOXD9を強制発現させ、pGL3-P97を導入してプロモーターアッセイを行った。結果、HOXD9を強発現させてもlusiferase活性は低いままであり、P97プロモーターは活性化されなかった。すなわち、HOXD9は単独でP97プロモーターに結合するのではなく、なんらかの因子と複合体を形成して結合し、E6/7遺伝子の発現を促進すると考えられた。
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