【目的】microRNA miR-675-3pはlong noncoding RNAであるH19より産生され、マウス満期胎盤で高発現している。しかし、胎盤のどの細胞に発現しているのか明らかでない。今回、マウス満期胎盤におけるH19とmiR-675-3pの発現をin situ hybridization(ISH)法で解析したので報告する。 【方法】B6D2F1マウス胎盤(E18.5)を用いて、H19はRNAプロープ、miR-675-3pはLNAオリゴプロープを用いてISHを行った。また、胎盤迷路層の合胞体栄養膜細胞及び胎盤接合層の海綿状栄養膜細胞のマーカーであるSlc2a1抗体との二重染色も行った。 【成績】胎盤迷路層におけるH19は胎盤関門を構成している胎児血管内皮細胞及び単核栄養膜細胞に発現していたが、その間に位置するSlc2a1陽性の合胞体栄養膜細胞には陰性であった。一方、miR-675-3pは胎盤関門構成細胞全てに陽性であった。また、胎盤接合層のH19は栄養膜巨細胞、グリコーゲン栄養膜細胞に発現し、Slc2a1陽性の海綿状栄養膜細胞には陰性であったが、miR-675-3pは海綿状栄養膜細胞にも陽性であった。 【結論】ISH解析により、miR-675-3pはH19発現細胞から分泌され、H19を発現していない近傍の栄養膜細胞に取り込まれることを示唆する新知見を見出した。
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