これまでに鼻性NK/T細胞リンパ腫患者血清において、EBウイルスmicroRNA(EBV-miRNA)であるmiR-BART2-5p、miR-BART7-3p、miR-BART13-3p、miR-BART1-5p、miR-BART12およびmiR-BART5-5pが健常コントロールと比較し高発現していること、またこれらのEBV-miRNAが鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株の培養上清中にexosomeに内包され分泌されていることを確認してきた。 上記の6種のEBV-miRNAのうち、血清中miR-BART2-5p、miR-BART7-3p、miR-BART13-3p、miR-BART1-5pが治療前と比較し治療後に有意に低下することを見出した。また、Ann Arbor臨床病期Ⅰ期症例とⅡ-Ⅳ期症例を比較検討した結果、Ⅱ-Ⅳ期症例において有意に血清中miR-BART2-5p、miR-BART7-3pが高値であった。さらに血清中EBV-miRNA発現レベルの中央値で2群に分けて患者予後との関係をKaplan-Meier法で検討した結果、血清中miR-BART2-5p高発現群において有意に予後が不良であることが確認された。 本研究により、血清中EBV-miRNA、特にmiR-BART2-5pは、鼻性NK/T細胞リンパ腫の診断および予後予測において有用なバイオマーカーになり得る可能性が示唆された。
|