研究課題/領域番号 |
15K20174
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
上田 征吾 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90447102)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IAPファミリー |
研究実績の概要 |
鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株SNK-6はIL-2依存性であり、IL-2を枯渇するとアポトーシスをきたす。そのためIL-2投与群とIL-2非投与群で、IAPファミリーの遺伝子発現解析を施行した。その結果IAPファミリーのbaculoviral IAP repeat-containing (BIRC) 3、BIRC5、X-linked inhibitor of apoptosis (XIAP)の発現がIL-2枯渇により有意に発現低下を認め、アポトーシスの惹起に関与していることが示唆された。これらのうちBIRC5については本疾患患者腫瘍組織のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた免疫組織化学染色にて腫瘍細胞に発現していることを確認している。BIRC5の阻害薬であるYM155をSNK-6に添加培養しMTSアッセイを施行したところ、濃度依存性に細胞増殖抑制効果を認めた。YM155は海外にて治験が進行しており、本リンパ腫の治療に本阻害薬を用いることが将来期待され、本年の国際EBV学会に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鼻性NK/T細胞リンパ腫において、IAPファミリーの関与が見いだされ、その実験が進行しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
BIRC5のみならず、BIRC3およびXIAPについても、本疾患細胞胞株での発現を定量リアルタイムPCRによるmRNAレベル、ウェスタンブロット法による蛋白レベルで確認する。発現が確認できれば、発現分子の阻害薬を各濃度で希釈して細胞株と培養し、同分子の発現阻害を定量リアルタイムPCRとウェスタンブロット法で確認する。同時にMTSアッセイによる細胞増殖率や7-AADおよびAnnexin V染色後のフローサイトメトリーによるアポトーシスの頻度を確認し、実際に細胞死が誘導されているか確認する。また臨床検体における免疫組織化学染色を用いた同分子の発現も確認する。さらにマウスモデルを用いてこれらの阻害薬の腫瘍増殖抑制効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はin vitroの実験のみを行っている。これらの実験は、すでに当科で所有している試薬等を使用した実験が多かった。そのため支出が予定より少なく、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はin vitroの実験に加えてマウスモデルの作製を計画している。使用するマウスは超免疫不全マウスであるNOGマウスを使用する計画である(一つの阻害薬にコントロール群と投与群でそれぞれ最低3匹使用。使用阻害薬は5種類を予定しており、最低30匹必要の予定)。本マウスは実中研より購入予定であるが、マウスの価格、輸送コスト、飼育コストなどを考慮すると、次年度使用額と翌年度の助成金を合わせた予算が必要である。
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