研究課題
鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株SNK-6はIL-2依存性であり、IL-2を枯渇するとアポトーシスをきたす。そのためIL-2投与群とIL-2非投与群で、IAPファミリーの遺伝子発現解析を施行した。その結果IAPファミリーのbaculoviral IAP repeat-containing (BIRC) 3、BIRC5、X-linked inhibitor of apoptosis (XIAP)の発現がIL-2枯渇により有意に発現低下を認め、アポトーシスの惹起に関与していることが示唆された。これらのうちBIRC5については本疾患患者腫瘍組織のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた免疫組織化学染色にて腫瘍細胞に発現していることを確認している。また本リンパ腫はEBV2型潜伏感染を呈し、LMP1を発現することで発癌に関与する。そこで本疾患細胞株SNK-6およびSNT-8を用いてLMP1をsiRNAでノックダウンしたところ、BIRC5の発現低下を認め、本疾患腫瘍組織での免疫組織化学染色において、LMP1とBIRC5の共陽性細胞を認めており、LMP1はBIRC5の発現を介して細胞増殖に関与することが示唆された。次にBIRC5の阻害薬であるYM155, terameprocol, mithramycinをSNK-6およびSNT-8に添加培養しMTSアッセイを施行したところ、濃度依存性に細胞増殖抑制効果を認めた。また、SNK-6をNOGマウスに異種移植したマウスモデルにおいて、mithramycinを投与したところ、有意に腫瘍増殖抑制効果を認めた。mithramycinは海外にて臨床試験が進行しており、本リンパ腫の治療に本阻害薬を用いることが将来期待され、昨年の国際EBV学会に発表した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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