研究実績の概要 |
1、内耳障害モデルの作成 当初音響外傷モデルの作成を136dBという強大音を用い、Muse細胞の移植を行ったが、コントロールと比較して、有意な聴力の回復は得られなかった。その原因として、内耳障害の程度がつよすぎると考えたため、4-8kHz,130dB、3時間の暴露でモデルを再検討した。この条件では外有毛細胞は70%脱落し、90%以上の支持細胞が保持されるため、幹細胞移植には適切であると考えられた。 2、移植方法の向上 当初ガラス管を用いて細胞移植を行っていたが、より細胞の移植を確実にするために、マイクロカテーテルを蝸牛鼓室階内に挿入して細胞を注入する方法を確立した。この方法を用いても聴力に与える侵襲は低く、聴力は変わりないことを確認した。 3、Muse細胞の移植 上記モデルに対し、音響暴露翌日に左耳に10,000または30,000細胞のMuse細胞を移植し、右耳にはPBSのみを注入して聴力をフォローしている。これまでのところ、30,000細胞の移植では炎症細胞の浸潤が著明であり、多すぎる細胞数のために免疫拒絶反応が過剰に起こっていると考えられる。聴力の改善傾向も見られない。10,000細胞群では同様に移植細胞周囲に炎症細胞の浸潤は見られるものの、30,000郡と比べれば軽度であり、聴力もコントロールに比べ、改善傾向を示している。
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