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2015 年度 実施状況報告書

多能性幹細胞Muse細胞を用いた蝸牛有毛細胞再生

研究課題

研究課題/領域番号 15K20179
研究機関山形大学

研究代表者

新川 智佳子  山形大学, 医学部, 医員 (00571647)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード感音難聴 / Muse細胞 / 幹細胞移植 / 内耳障害 / 音響暴露
研究実績の概要

1、内耳障害モデルの作成
当初音響外傷モデルの作成を136dBという強大音を用い、Muse細胞の移植を行ったが、コントロールと比較して、有意な聴力の回復は得られなかった。その原因として、内耳障害の程度がつよすぎると考えたため、4-8kHz,130dB、3時間の暴露でモデルを再検討した。この条件では外有毛細胞は70%脱落し、90%以上の支持細胞が保持されるため、幹細胞移植には適切であると考えられた。
2、移植方法の向上
当初ガラス管を用いて細胞移植を行っていたが、より細胞の移植を確実にするために、マイクロカテーテルを蝸牛鼓室階内に挿入して細胞を注入する方法を確立した。この方法を用いても聴力に与える侵襲は低く、聴力は変わりないことを確認した。
3、Muse細胞の移植
上記モデルに対し、音響暴露翌日に左耳に10,000または30,000細胞のMuse細胞を移植し、右耳にはPBSのみを注入して聴力をフォローしている。これまでのところ、30,000細胞の移植では炎症細胞の浸潤が著明であり、多すぎる細胞数のために免疫拒絶反応が過剰に起こっていると考えられる。聴力の改善傾向も見られない。10,000細胞群では同様に移植細胞周囲に炎症細胞の浸潤は見られるものの、30,000郡と比べれば軽度であり、聴力もコントロールに比べ、改善傾向を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定した音響外傷モデルでは障害の程度が強すぎたため、移植実験に適したモデルの再検討を行った。上記条件以外にも二つの条件について、聴力の推移、組織学的変化について検討を行ったため、実験の進捗状況はやや遅れている。
またマイクロカテーテルを用いた移植方法の確立と、蝸牛に与える手術侵襲を評価するために、時間を要した。

今後の研究の推進方策

今後は10,000細胞郡、30,000細胞郡の両方の聴力の推移、組織学的検討行う。組織学的には、移植したMuse細胞の生着の有無の確認、もし生着しているのであればotic lineage markerの発現の有無を免疫組織染色ににて確認する。また、有毛細胞やらせん神経節細胞の数のカウントにより、Muse細胞の内耳保護効果についても検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

参加を予定した学会のうち、参加できない学会があったこと、物品も新たに購入予定であった実体顕微鏡に関しては、既存の顕微鏡の部品交換によって、使いやすくすることができたために次年度使用額が生じたと考えられる。また、その他の物品に関しても、実験の遅れに伴い、購入が遅れている。

次年度使用額の使用計画

現在高速冷却遠心機の回転数が足りない状態であり、購入を検討している。

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公開日: 2017-01-06  

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