研究課題/領域番号 |
15K20184
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小村 豪 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (00601139)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 下咽頭癌 / TP53変異 |
研究実績の概要 |
平成28年度は2008 年~2014 年の 57 例を対象に1. Sanger 法による TP53 変異検索とその頻度及び ALDH2 多型、p53 タンパク発現、予後との関連、FAK 発現との相関性について、2. Sanger 法による PIK3CA 変異検索ならびに定量的 real-time PCRによる PIK3CA 増幅とその頻度、予後との関連、及び FAK 発現の相関性を検討した。TP53変異様式の頻度は、野生型18例(32%)、 ミスセンス変異24例(42%)、ナンセンス変異9例(16%)、スプライシング異常4例(7%)、 フレームシフト変異2例(3%)であり、39例(68%)で変異をきたしていた。また、p53タンパク発現については、野生型症例ではp53陰性/陽性 =13/5例、ミスセンス変異症例ではp53陰性/陽性=7/17例、Truncated変異症例ではp53陰性/陽性=15/0例であり、有意差を認めた(P= 0.0001)。次にTP53変異と予後について解析を行い、3年疾患特異的生存率はそれぞれ野生型/ミスセンス変異/Truncated 変異症例が94%/58%/42%であった。TP53変異症例は野生型TP53症例と比較し、有意に予後不良(P= 0.01)であった。FAK発現とTP53変異の相関性は認めなかった。 PIK3CA遺伝子の変異検索を行い、9例(16%)で変異を認めた。また、定量的 real-time PCRの結果、19例(33%)を増幅症例と判定した。PIK3CA変異・増幅には予 後との関連は見られなかった。また、FAK発現とPIK3CA変異・増幅の間にも相関性を 認めなかった。TP53変異については第40回日本頭頸部癌学会総会で、PIK3CAについは第27回日本頭頸部外科学会総会で口演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していたTP53変異ならびにPIK3CA変異増幅の検索は完了しており、TP53変異については英文誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
当該症例において、p16 免疫染色及び HPV in situ hybridization を用い、下咽頭癌発症における HPV の関与について、また、Sanger 法により ALDH2 多型検索と ALDH2 多型と飲酒量の関係性について検討する予定である。 また、TP53変異については英文誌に現在投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表した学会が東京近郊で行われたため、旅費としての出費が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該症例において、p16 免疫染色及び HPV in situ hybridization を用い、下咽頭癌発症における HPV の関与について、また、Sanger 法により ALDH2 多型検索と ALDH2 多型と飲酒量の関係性について検討する予定である。これらの試薬を購入予定である。また研究成果を国内外の学会で発表予定であり、それに用いる旅費に一部使用予定である。また、TP53変異については英文誌に現在投稿中である。編集部より修正を要求された時は英文校正に、またopen acceessのjournalに受理された場合は投稿費に用いる予定である。
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