研究課題
平成29年度は2008 年~2014 年の初回治療例57 例を対象にし、ALDH2多型と下咽頭癌の関係について検討した。ALDH2多型の内訳は*1/*1 =27例(43%)、*1/*2 =36例(57%)、*2/*2 =0例であった。アルコール飲酒量をSake-Indexに換算し、Sake-Indexは*1/*1 =114±14.5、*1/*2 =75.6±9.2と後者は有意に少ない飲酒量で下咽頭癌を発症していた(P=0.01)。3年疾患特異的生存率は*1/*1*=62%、1/*2=68%で両者の間に有意差は認めなかった。以上のことから下咽頭癌症例におけるALDH2*1/*2頻度が日本人健常者群より高く、*1/*2保因者が*1/*1保因者と比較して少ない飲酒量で罹患していたことから、日本人の下咽頭癌発症に飲酒とALDH2多型が深く関与していることが再認識された。これらを第41回日本頭頸部癌学会総会で発表した。またp16免疫染色ならびにHPV in situ hybridizationを行い、57例中3例でp16陽性が見られたがその3例全てにおいてHPV-ISHは陰性であり、下咽頭癌におけるHPVの関与はほぼないと考えられた。TP53変異と下咽頭癌の予後、p53免疫染色との関連性、ならびに下咽頭癌におけるHPVの関与の有無についてBMC Cancer誌に掲載された。(Omura G, et al. BMC Cancer 2017; 17: 898)
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
BMC Cancer
巻: 17 ページ: 898
DOI 10.1186/s12885-017-3913-1
International Journal of Clinical Oncology
巻: 22 ページ: 431-437
DOI 10.1007/s10147-016-1076-8
Head and Neck
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10.1002/hed.24705