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2015 年度 実施状況報告書

患者由来腫瘍異種移植片モデルを用いた腺様嚢胞癌の進展機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K20186
研究機関東京大学

研究代表者

安藤 瑞生  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60511467)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード疾患動物モデル / 網羅的ゲノム解析
研究実績の概要

本研究は、患者由来の腫瘍異種移植片(PDX, patient-derived xenograft)モデルを活用した実験により、神経周囲浸潤という腺様嚢胞癌の特徴的な進展機序を解明することを目的とする。先行研究において、神経栄養因子が腺様嚢胞癌の神経周囲浸潤に関与することを病理組織学的に明らかにした。本研究では、マウスに患者由来の腫瘍組織を直接移植して継代培養する動物実験と、ゲノム科学・分子生物学的実験とを組み合わせることにより、神経周囲浸潤における神経栄養因子およびその周辺分子の関与を実験的に証明するとともに、これまで未知の寄与因子を新たに見い出すための解析を実施する。
本年度はPDXモデルの継代培養を進めるとともに、これらを対象として次世代シーケンサーによる網羅的ゲノム解析を実施した。融合遺伝子検出のためFISH(fluorescence in situ hybridization)も実施した。本年度の新規治療症例から得られた患者由来腫瘍も随時PDXモデルを樹立しており、症例数を蓄積している。
また、患者由来腫瘍から遠隔転移モデルマウスを作成することにも成功した。臨床的に腺様嚢胞癌の遠隔転移は高率に肺に出現するので、遠隔転移メカニズムを解明することには大きな意義がある。遠隔転移をきたした腫瘍細胞に対して同様の網羅的ゲノム解析を追加し原発腫瘍と比較検討することにより、転移性サブクローンに特異的な異常の抽出を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者由来腫瘍が半永久的に継代可能となるPDXモデルによって、臨床的腫瘍塊から正常細胞が除かれた純粋な癌細胞集団になるとともに、癌幹細胞や増殖能の強いサブクローン癌細胞が優勢になることが予測される。本年度は、既に予備研究で樹立していたサンプルを用い、次世代シーケンサーを用いた網羅的ゲノム解析を実施した。これにより、点変異検出、融合遺伝子検出、発現量の結果を一括して得ることができた。融合遺伝子検出のためFISH(fluorescence in situ hybridization)も実施した。本年度の新規症例も随時PDXモデルを樹立しており、症例数を蓄積している。
患者由来腫瘍から遠隔転移モデルマウスを作成することにも成功している。腺様嚢胞癌の遠隔転移は高率に肺に出現し、臨床的に大きな問題となっているので、遠隔転移メカニズムを解明することには大きな意義がある。遠隔転移をきたした腫瘍細胞に対して同様の網羅的ゲノム解析を追加し原発腫瘍と比較検討することにより、転移性サブクローンに特異的な異常の抽出を試みている。

今後の研究の推進方策

新規症例の移植により症例数を蓄積し、信頼性のあるデータベース構築を進める。解析としてはマイクロアレイによる網羅的解析を追加し、得られたデータを症例ごとに比較検討することにより、癌細胞に特異的な細胞異常の全容を明らかにする予定である。また、確立した細胞株が存在しない腺様嚢胞癌において、本研究から細胞株を新規樹立することも目指している。
我々の以前の病理組織学的研究により、神経栄養因子を高発現している症例では有意に神経周囲浸潤が強いことが明らかになっている。今後は神経栄養因子と神経周囲浸潤の関連について、PDXによるin vivo実験を行う計画である。網羅的解析により明らかになった神経栄養因子以外の経路についても実験を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究はおおむね順調に進んでいるが、新規症例のPDX樹立が順調であり実験動物の消費が少なかったことや、次世代シーケンスの低価格化により、次年度使用額が生じている。

次年度使用額の使用計画

症例の蓄積に伴って網羅的解析費用の増加が見込まれ、同時に検出された異常の細胞内シグナル解明のためのin vivo実験も増加すると考えられる。研究計画に則って次年度以降に使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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