研究課題
本研究は、声のアンチエイジングを臨床応用するための基盤確立が目的であり、①カロリー制限(CR)負荷ラットで声の老化が普遍的に生じるかの検証、②声の老化の分子生物学的機構の解明、③CR負荷ラットへの追加的治療介入による声の老化の予防・治療法の開発を方法論とする。計画開始時の研究の概要は以下の通りである。平成27年度は短期CRモデルの組織学的・分子生物学的評価を行いながら、中年・老年ラットのCRモデルや長期CRモデルの飼育を行う。平成28年度は中年・老年ラットCRモデルの評価を行い、得られた結果に基づいて予防・治療的介入実験を開始する。平成29年度は予防・治療的介入モデルの評価を行う。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、オスSDラットに対して、1ヶ月、3ヶ月の短期カロリー制限を負荷した短期CRモデルの組織学的・分子生物学的評価を行った。粘膜固有層においては、容積が増大し、ヒアルロン酸が増加し、障害に対する創傷治癒が改善し、有益な効果が確認された。また、長寿遺伝子のSirt-1の発現が亢進しており、上記の有益な作用に何らかの関与があるものと推察された。一方、中年・老年ラットのCRモデルや長期CRモデルの飼育を行う予定でいたが、当院の研究施設が移転工事に入り、動物の飼育がこの間困難となり、長期モデルは見合わせている。
今後は、短期モデルで見られた結果の普遍性の確認と、メカニズムの解明を行っていく予定である。具体的には、更に短期のCRモデル(1週間、数日など)で炎症早期の変化を、免疫染色、RT-PCRなどでより詳細に評価する。移転が終了し次第、長期モデルについても開始していく。
初年度は、RT-PCR、免疫染色、Western Blotなど、様々な検査系を立ち上げたために初期費用が予想以上に大きくなった。また、当初より、評価する項目が増えたために必要となる抗体、プライマー、酵素などの費用が膨らんだ。
次年度以降は、引き続き、ラット、エサ、免疫染色、RT-PCR、Western Blotなどで科研費を使用する見込みであるが、初年度に購入した物品をある程度継続で使用するため、予定よりは費用が抑えられる見込みである。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
J Voice[Accepted in October 2015]
巻: E-pub ページ: E-pub
J Voice. 2015 [Epub ahead of print]