ミセル化シスプラチンはミセルが崩壊することで、内包する抗癌剤が放出され、抗腫瘍効果を発揮する。ミセル化により血中の安定性が向上し、EPR効果で腫瘍内濃度は高まるが、集積効果に比して抗腫瘍効果の上昇が少ない。ミセル化薬剤は一種の徐放性の薬剤であり、内部の抗癌剤を一気に放出させることができれば、抗腫瘍効果が高まるのではないかと考えた。そこで、ミセルは塩化物イオン濃度が高いほど、溶液の温度が高いほど崩壊しやすい点に着目した。高濃度NaClの併用投与は、頭頸部癌Cell lineでは抗腫瘍効果が高まる結果が得られたが、OSC-19舌移植モデルマウスでは有意な結果が得られなかった。
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