研究課題
Human papilloma virus (HPV)関連中咽頭癌は世界的に増加の一途をたどっている。HPVは通常宿主細胞内にepisomalな状態で潜伏し ている。さらに宿主ゲノムへintegrationされることが癌化に必要であるが、その機構は不明である。本研究は細胞自身の内因性免疫 、すなわち、ウイルスに対して変異を導入するAPOBEC familyのデアミナーゼ活性に着目して、1)中咽頭癌と喉頭乳頭腫におけるAPOBECファミリー発現プロファイルを比較する。2)APOBECファミリーの中でもdouble strand breakを誘導する唯一の酵素であるAID発現3)APOBEC発現と遺伝子変異導入についての関連性についてHPV由来のE6,E7発現と癌化の関連性を細胞株を用いて解明することとした。HPV陽性中咽頭癌の組織では陰性に比してA3A, A3C,A3F, A3Hが高い傾向があった。HPV陽性喉頭乳頭腫では一部でAPOBEC3F発現を認めたものの他はAPOBEC発現は認めなられなかった。中咽頭癌細胞株ではqPCRで検討した結果、A3Bが高い傾向であった。咽頭細胞株へのHPV遺伝子導入については、トランスフェクション効率が悪く、安定した細胞株を樹立する事が出来ず研究が進まなかった。今回の結果からは中咽頭癌で強く発現を認めたAPOBEC familyを同定した。 また、喉頭乳頭腫に関しては正常細胞に潜伏するべく宿主の免疫応答を回避する機構が働いているかもしれない事が示唆された。
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