タキソール耐性咽頭癌細胞株T3M-1においてCDKN3の発現がタキソール刺激後に誘導されることをリアルタイムPCRにて確認した。T3M-1Txにおいてタキソール刺激後に細胞周期解析を行ったところ、コントロールと比較しG2M期に誘導される細胞の割合が有意に減少しており、細胞が早期のM期脱出をしていること、タキソール刺激がG1期停止に関与していることが分かった。 タキソール耐性株T3M-1Txにおいて、siRNAを用いてCDKN3を抑制できることをリアルタイムPCRで確認した。このsiRNAを用いてT3M-1Tx株においてCDKN3を抑制すると、タキソール耐性が減弱し、アポトーシスに陥る細胞数が増加することがフローサイトメトリーにて確認できた。MTTアッセイにおいても同様にsiRNAでCDKN3を抑制すると、タキソール耐性が減弱し、細胞生存率が低下することが確認できた。 T3M-1以外のタキソール耐性頭頸部癌細胞株においてもCDKN3がタキソール耐性に関与しているか検証を行うため、SAS、HSC-3、Ho-1-u-1においてタキソール耐性株の作成を試みた。しかしながら、これらの細胞株ではタキソールの濃度を上昇させていく過程において細胞死、細胞変形が生じたため、タキソール耐性株の作成は成し得なかった。これに代わる新たな課題としてT3M-1Txがタキソールと同じタキサン系のタキソテールにも交叉耐性があるのかを検討することにした。 MTTアッセイにおいてT3M-1Txはドセタキセル耐性も獲得していることを確認した。そこでT3M-1TxにおいてCDKN3をsiRNAで抑制し、MTTアッセイとコロニーアッセイを行ったところ、CDKN3抑制によってドセタキセル耐性も減弱することが分かった。 これらの結果からCDKN3をターゲットとした頭頸部癌におけるタキサン耐性克服の可能性が示された。
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