研究課題
平成29年度は、前年度までの研究を継続して当研究室が管理する日本人難聴患者DNAバンク(約6500例)のうち、未だ原因の特定できていない患者200例を対象にミトコンドリアDNAを増幅するプライマーセットを用いてPCRを行い、得られたPCR産物を直接シークエンス法による解析を行い、ミトコンドリアDNA全塩基配列を決定した。見出されたミトコンドリアDNAには多型が多く疾患と無関係な変異も多数存在するため、財団法人岐阜国際バイオ研究所が管理するミトコンドリアゲノム多型データベースおよび国際的に疾患と関連するミトコンドリア遺伝子変異のデータベースであるMitoMapを参考に、日本人健常者や海外の健常者に認める多型を除いて解析を行った。その結果、2家系に新規の原因遺伝子変異と考えられる候補変異を見出した。(ただし、見出された新規の候補遺伝子変異は過去に疾患との関連が報告されていない変異であることより、その病原性の判断には追加の家族検体等が必要である。そこで、上記のフィルタリングを行なったのちに残ったミトコンドリア遺伝子の病的変異候補に関して、その臨床的特徴を明らかにすることを目的に、変異を有する発端者に加え、同一変異を有すると考えられる、母系親族および同胞の検体および臨床情報の収集を行い、遺伝子変異の種類と難聴の程度、進行の程度に関する相関解析を行うことで、各遺伝子変異毎の臨床像を明らかにすることができた。現在、研究成果を論文として公表するための準備を行なっている。
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Acta otolaryngol.
巻: 1 ページ: in press
doi: 10.1080/00016489.2018.1441545.