研究課題
今年度は、英語学習における実態調査として実施した、中学生以上の保護者および本人に対して行った質問紙について、解析を行った。中学生以上の30名からアンケートを回収可能であり、研究に同意が得られなかった1名を除外し、男性14名、女性15名を解析対象とした。高等学校に在籍しているのが9名(男性2名、女性7名)、中学校に在籍しているのが20名(男性12名、女性8名)であった。このうち、特別支援学校・学級での支援を受けている難聴児は5名、難聴学級での支援を受けている難聴児が3名で、残りは普通学級で正常聴力児とともに学習していた。質問紙調査において、好きな教科の第一位が英語であると回答した難聴児は6.9%であったのに対し、嫌いな教科の第一位が英語であると回答した難聴児は13.8%であった。英語学習についての意識調査の回答結果は、英語学習が好き:7名、嫌い:8名、どちらともいえない:13名、無回答:1名であった。英語学習における要素別の学習の好き嫌いについての質問に対し、好きと回答した割合が、英単語48.3%、英文法62.1%、英文読解44.8%、英文和訳51.7%、英作文20.7%、リスニング17.2%であった。このように、英語の基礎的な学習では好きと回答した難聴児が半数前後存在しているのに対し、英作文やリスニングなど、英語を応用的に用いることや、聞き取りに関する問題については苦手と考えている児が多いことが明らかとなった。一方で、英語学習を何に役立てたいかという質問に対しては、65.5%の児が高校や大学受験に役立てたいと回答しており、高等教育を目指す難聴児が多い中で、英語を進学の手段と考えている児の存在が明らかとなった。現在、センター試験では難聴児に対してリスニングに関する配慮がなされているが、学校教育の中でも個別の指導など、英語学習における介入についても検討していく必要がある。
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PLoS One
巻: 16 ページ: e0215932
doi: 10.1371/journal.pone.0215932