新規経口免疫寛容剤(スギ抗原-ガラクトマンナン複合体)を用いたスギ花粉症に対する2重盲検ランダム化比較試験の結果〈既存の免疫療法(皮下免疫療法、舌下免疫療法)と比較し、わずか2か月間の短期間の経口免疫療法で花粉飛散期中の薬物使用スコア(抗ヒスタミン剤や点鼻ステロイド薬の使用)を有意に軽減(約60%減少)できること、重篤な副作用もなく安全性も高い免疫療法であること、またサブ解析の結果ではあるがプラセボ投与群と比較して実薬群では例年の飛散期全般の症状との比較し、有意に症状が改善すること〉がオンラインジャーナルであるScientific Reportsにアクセプトされオンライン上で公開された。公開に合わせて九州大学のホームページ上でプレスリリースを行い、論文の成果の発表を行い、広くその成果の告知を行った。 また今回の臨床試験によって経口投与での花粉症状への抑制効果が示唆されたため、別の投与ルートとして経鼻投与での免疫療法の可能性を模索することとした。経鼻投与は経口投与と比較して抗原量が数十分の1と少ない量で効果が期待できる。これまで実際にヒトの鼻腔に対してスギ抗原-ガラクトマンナン複合体を投与しその効果を検討した研究はしていないためまずは花粉症マウスモデルの作成を行った。今後、作成した花粉症マウスモデル用いて経鼻投与のモデルを作成し、その症状抑制効果について検討を行い、効果が見込まれるようであればヒトに対する経鼻投与での臨床試験を検討する方針である。
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