研究課題/領域番号 |
15K20219
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20620983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
ヒト頭頸部腫瘍セルラインパネルを購入し、ヒト咽頭癌(FaDu)、マウス扁平上皮癌(SCC-VII)、マウス舌癌由来細胞株(TC4)ヒト顎下腺癌(A542)の各細胞株にHF10を感染させ、腫瘍細胞の変性効果とHF10の増殖を観察した。HF10はいずれの細胞にも感染し、感染細胞では細胞変性効果(CPE)が認められた。また、上清中にはHF10が認められ、経時的に増加した。その後、各細胞株にHF10を様々な力価(MOI)で感染させて4日後に細胞生存率を測定し、HF10のin vitroにおける抗腫瘍効果を検討した。HF10に対する感受性は細胞により異なったが、高いMOIではいずれの細胞においても極めて高い抗腫瘍効果を示した。 次にin vivoにおける治療効果を検討するために、SCC-VIIをC3Hマウスの耳介に移植して耳介腫瘍マウスモデルを作成した。HF10を2日おきに2回、腫瘍内に接種したところ、耳介腫瘍の縮小が認められ、その結果としてマウスの生存が延長した。接種した群において体重減少、痙攣などの明らかな副作用は認めなかった。最後に治療後のマウスの脾臓を採取し、抽出された脾細胞を腫瘍細胞で刺激して培養した。培養上清中に分泌された抗腫瘍サイトカインをELISAで測定したところ、IFN-gamma、TNF-alpha、IL-2の分泌が認められた。以上の結果から、腫瘍細胞に特異的な抗腫瘍免疫がHF10の腫瘍内接種により誘導されたと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肺腫瘍モデル、舌腫瘍モデルの作成も試みたが、適切なモデルを作成することが不可能であった。しかし、そのかわりに作成した耳介腫瘍モデルではHF10の抗腫瘍効果を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
耳介腫瘍におけるSCC-VIIのによる抗腫瘍効果を組織学的に検討する予定である。また、ヒト扁平上皮癌(Fadu)を用いて耳介腫瘍モデルを作成し、ヒト腫瘍細胞における抗腫瘍効果をin vivoで検討する予定である。以上の結果をまとめて投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画は順調にすすんでいる。27年度に行う予定であった化学療法剤との併用効果を来年度に検討する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
併用効果を検討する化学療法剤の候補としてTS-1を考えている。マウスモデルを用いてTS-1とHF10の併用効果を検討する予定である。
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