研究課題/領域番号 |
15K20229
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福永 一朗 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (20746581)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | GJB2 / Connexin26 / 遺伝性難聴 / iPS細胞 / 分化誘導 / 蝸牛線維細胞 / 有毛細胞 |
研究実績の概要 |
【背景】加齢性難聴は75歳以上の約70%が加齢性難聴と診断されているが、根本的な治療法は開発されていない。近年、加齢性難聴を含めた難聴の細胞治療を目指し、invitroにおいて ES/iPS細胞から内耳有毛細胞への分化誘導方法が複数報告されたが、いずれも分化誘導効率の問題が指摘されている。 【目的】本研究では、1) iPS細胞から内耳細胞への効率的な分化誘導法の開発、2) iPS由来細胞を利用した難聴モデルマウスに対する根本治療を目指した細胞治療法の開発を目的とした。 【結果】iPS細胞からコネキシン26を発現する細胞への分化誘導に成功した。コネキシン26は蝸牛支持細胞・線維細胞に存在し、蝸牛内における細胞間イオン輸送を行うギャップ結合の重要な構成要素である。今回作成した細胞は、コネキシン26と共にギャップ結合の重要な構成要素であるコネキシン30を共発現していた。また、形態的・機能的にも発達期の内耳支持細胞に近い結果を示した。 【今後の計画】 コネキシン26を発現する細胞への分化誘導に成功したが、分化誘導効率の改善および細胞株樹立が今後必要となってくる。細胞株の樹立ができ次第マウスへの移植実験を行う予定。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞から分化誘導したコネキシン26を発現する細胞は、形態的・機能的に発達期の内耳細胞に近いことが示唆された。 しかしながら現在、細胞株の樹立を目指して実験を行っているためマウスへの移植実験はまだ行えていない。本研究の結果を論文にまとめ投稿中であるが、上記の理由から、研究の進捗はやや遅れていると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
【今後の推進方策】 今後は、複数のCell lineで分化誘導試験を行い分化誘導効率の改善と細胞株の樹立を目指す。分化誘導効率や作業効率等の観点から、鳥類胚内耳へのiPS細胞移植よりも効率が良いため、こちらが優先されると考えられる。 【次年度の研究費の使用計画】 本年度は、研究費に関しては計画通りに支出した。コネキシン26を発現する細胞への分化誘導に成功したが、分化誘導効率の改善および細胞株樹立が今後必須となってくると考えられる。 来年度は、早急に細胞株の樹立を行いマウス移植実験へ移行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は人件費および謝金が発生しなかったため。 また、実験で使用する試薬類が当初予測よりも少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
今後は、複数のCell lineで分化誘導試験を行い分化誘導効率の改善と細胞株の樹立を目指す。 このため、これまでよりも試薬・消耗品の使用量が増加すると考えられる。
|