研究課題/領域番号 |
15K20233
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高浪 太郎 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (20643670)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MCMV難聴マウス / ABR / ミオシン変性 / ステロイド鼓室内投与 / 進行性難聴 / 遅発性難聴 / リバウンド現象 |
研究実績の概要 |
MCMV難聴マウスを使った先行実験において、内耳性難聴に対するステロイド鼓室内治療が(A)正円窓経由による内耳DDS効果で投与側内耳へ循環(B)耳管経由で全身に希釈移行し投与側内耳と非投与側内耳への循環し、全身副作用を軽減した代替えサルベージ治療となる可能性が示唆された。今回、生直後のマウスに対しMCMV脳室内注入を行い、生後6週目での生存率90%・難聴出現率50%のMCMV進行性難聴モデルマウスを作製し、第3週・5週・7週にステロイド鼓室内連用投与し、ABRとミオシン変性の有無で治療効果判定を行った。その結果、生後6週目時点でのABRでは、第3週・第5週のステロイド鼓室内連用投与によって、ある一定の割合で投与側改善さらに非投与側にもわずかながら改善を認めた。さらに難聴改善群では外有毛細胞の障害程度が相対的に軽度だった。一方で、生後10週目時点でのABRでは、生後6週目時点で改善し第7週にステロイド鼓室内投与を行ったマウスにおいても、再び難聴が悪化するリバウンド現象を認めた。生後10週目では生後6週目に比べて治療奏効率が低下しミオシン変性を強く認めた。ステロイド鼓室内治療が外有毛細胞ミオシン変性を抑制し内耳性難聴を改善する可能性が示唆されたものの、MCMV進行性難聴の場合にはCMV増殖による全身病態の悪化に伴い、内耳の不可逆的変化を抑制しきれず、一時的な治療効果のみにとどまる可能性が示唆された。CMV難聴におけるステロイド鼓室内治療が奏功するケースは、内耳性難聴の病態が局所的であり全身病態が悪化していない場合に限定されると考えられた。そのため先天性難聴や進行性難聴のケースでは適応が厳しいが、全身病態に寄与していない無症候性CMV血症の状態から急に発症する遅発性難聴に対して、有効性があるかどうか今後検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステロイド鼓室内治療が外有毛細胞ミオシン変性を抑制し内耳性難聴を改善する可能性が示唆されたものの、進行性難聴の場合にはCMV増殖による全身病態の悪化に伴い、内耳の不可逆的変化を抑制しきれず、一時的な治療効果のみにとどまる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
ステロイド鼓室内治療の適応は、内耳性難聴の病態が局所的であり全身病態が悪化していないケースに限定されると考えられた。そのため先天性難聴や進行性難聴のケースでは適応が厳しいが、全身病態に寄与していない無症候性CMV血症の状態から急に発症する遅発性難聴に対して、有効性があるかどうか今後検証する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
ステロイド鼓室内治療の適応は、内耳性難聴の病態が局所的であり全身病態が悪化していないケースに限定されると考えられた。そのため先天性難聴や進行性難聴のケースでは適応が厳しいが、全身病態に寄与していない無症候性CMV血症の状態から急に発症する遅発性難聴に対して、有効性があるかどうか今後検証する必要がある。
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