手術後2週間以内に、41例中21例(51.2%)に味覚症状、24例(58.5%)にしびれ症状を認めた。味覚症状、しびれの両方を認めた例が17例(41.5%)、味覚症状のみが4例(9.8%)、しびれのみが7例(17%)、どちらも認めなかった例が13例(31.7%)であった。味覚症状、しびれ症状の有無を経時的に追跡した。味覚症状の消失時期は、1年以内63.2%であった。一方しびれ症状の消失時期は1年以内91.3%であった。1年以内で比較すると、味覚症状と比較してしびれ症状が有意に改善する結果であった(p<0.05)。2点識別閾検査、電気知覚検査、電気知覚検査結果は、術前の健側群・患側群間ではすべての検査において有意差を認めなかった。一方、患側の術前群・術後群、術後の健側群・患側群間では、いずれの検討でも3種類すべてにおいて有意な閾値上昇を認めた。術後にしびれ症状を有した症例で、検査を施行できた症例に関しても、すべての検査で有意に閾値が上昇した。術後に有意な閾値上昇を認めた割合は、2点識別閾検査で8例(30.8%)、電気知覚検査で10例(38.5%)、電気味覚検査で16例(61.5%)であった。3か月以内のそれぞれの改善率は、2点識別閾検査で87.5%、電気知覚検査で57.1%、電気味覚検査で42.9%と、知覚検査と比較して味覚検査で改善率が低下する傾向にあった。 ラット鼓索神経切断モデルを作成し、三叉神経節での変化を測定した、鼓索神経切断後の三叉神経節ではATF3、TRPV1受容体、GFAP、p-p38、p-ERKの発現変化は認められず、鼓索神経切断による三叉神経節の変化はないと考えられた。
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