研究課題/領域番号 |
15K20244
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
大野 晋治 旭川医科大学, 医学部, その他 (50571890)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DPP4 / アディポカイン / 血管内皮機能 / 糖尿病網膜症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は新規アディポカインとして注目されているDPP4の網膜循環および網膜神経組織への影響について明らかとすることである。初年度は「網膜血流、網膜血管内皮機能に対する DPP4、DPP4 阻害薬の作用」「Neurovascular coupling に関わる因子」について実験を行い、DPP4のアディポカインとしての新たな作用を明らかとし、各種学会で発表を行った。 具体的には、DPP4が網膜血管内皮機能を濃度依存性に障害し、その機序としてNAD(P)H oxidaseの活性化による活性酸素の産生が関与していることを報告した。このDPP4による網膜血管内皮機能障害作用は、DPP4阻害薬であるteneligliptinの投与により防ぐことが可能であった。さらに、網膜におけるNeurovascular couplingに関与する因子としてProstaglandin E2によるEP2およびEP4の活性化が重要であることを明らかとした。 糖尿病では血中DPP4濃度が上昇することが報告されているが、糖尿病網膜症患者では血管内皮機能障害が起こっていることも知られている。したがって本研究から、糖尿病による血中DPP4濃度の上昇が、糖尿病網膜症の進展に寄与している可能性が考えられ、DPP4阻害薬は単に血糖値を降下させる作用だけではなく、直接的な血管内皮機能保護作用を持つ可能性が示唆された。現在上記内容について論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DPP4が網膜血管内皮機能および網膜血流に与える影響については上記の通り、順調に研究が進んでいる。 しかし、DPP4が網膜神経組織に与える影響についての研究で思ったような成果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
DPP4が網膜血管内皮に与える影響については、引き続き研究を行い論文にまとめる方針である。DPP4が網膜神経組織に与える影響については、用いている細胞培養系の変更を考慮し研究をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を予定していた蛍光顕微鏡が他の研究費で購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在血管内皮機能を評価するために使用している特注の実験機器が、老朽化のため更新が必要となる可能性が高く、そちらへの支出が予定されている。
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