本研究の目的は、糖尿病患者において過剰に産生されるDPP4が網膜循環にどのような作用を有するか明らかとすることである。摘出ブタ網膜血管を用いた実験から、DPP4が濃度依存性に網膜血管内皮機能を障害することが明らかとなった。また、DPP4阻害薬であるテネリグリプチンが、DPP4による血管内皮機能障害に保護的に働くことを見出した。さらに、糖尿病患者の血中DPP4濃度と網膜血流量を測定し、DPP4濃度が高い男性患者において網膜血流量が低下していることを明らかとした。 以上の結果から、DPP4の過剰産生が血管内皮機能を障害し、網膜血流量低下の原因となっている可能性が示唆された。
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