研究課題/領域番号 |
15K20251
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
長岡 奈都子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (30626271)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 緑内障 / 自己抗体 / バイオマーカー / 近視性視神経症 / 自己免疫 |
研究実績の概要 |
緑内障性視神経症の増悪因子として、高眼圧の他に抗視神経・網膜抗体の存在が報告されているが自己抗体の網羅的解析は行われていない。一方、同様に視神経萎縮疾患である近視性視神経症は主に機械的な視神経障害とされ、分子レベルでの発症増悪機序はいまだ不明である。本研究は緑内障と近視性視神経症を比較検討することにより自己免疫に焦点をあてた発症機序の解明を目的としている。 初年度は視神経・網膜・強膜篩状板由来の眼組織特異的な抗原を含む、視神経症に特異的なマイクロアレイチップを開発することを目標とした。強度近視眼における近視性視神経症の診断はやや煩雑であり、緑内障症例と比較検討が可能となるよう慎重に対象症例を選択した。また今後の研究課題として当院の緑内障患者・強度近視患者を対象に視神経萎縮の程度や予後診断、眼圧下降薬への反応性と自己抗体の相関を検討し、バイオマーカー・リスクファクターとしての有用性をROC解析・多変量解析にて評価する予定であり、それぞれの症例のリクルートを行った。インフォームドコンセントのもと双方の血清サンプルを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画は眼組織由来抗原に対する視神経症患者の血清中新規自己抗体の同定を試行する予定であったが、検討に必要な症例のリクルートおよび血清サンプルの収集に当初の予定より時間を要したため、当初の計画より遅れている。これより網膜・視神経・篩状板・線維柱帯・シュレム管由来蛋白を2次元電気泳動にて分離し、コントロール・患者血清により精製したIgG抗体とwestern blottingを行い患者特異的に出現したblotに相当する泳動ゲル内spotに含まれる蛋白抗原の同定をマススペクトル解析にて試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
解析に研究員のサポートを得る体制を整え当初の実験計画を進めていく。新たな蛋白抗原が同定できた後は次段階のカスタムアレイチップ作成へ進み、本年度の予定実験に進んでいけるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
視神経症に特異的な新たな蛋白抗原同定にあたり当初の研究計画が停滞したため、予定使用額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
蛋白抗原のマススペクトル解析での同定(約30万円)・カスタムアレイチップの作製およびチップを用いた各種視神経症の自己抗体プロファイルの比較検討(約30万円)・NTGモデルであるGLAST欠損マウスや高眼圧モデルであるDBA/2Jマウス、近視モデルとしてLIMマウスもしくはSLITRK6欠損マウスの自己抗体プロファイルとの比較検討(約40万円)
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