研究課題/領域番号 |
15K20253
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
立花 信貴 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (80647397)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 先天白内障 / 遺伝子変異探索 |
研究実績の概要 |
少子化の進むわが国において、小児眼疾患の視機能を良く保つ事は必須である。先天白内障を代表とする遺伝性眼疾患は、小児の視力障害を起こす疾患として重要であるが、十分な研究がなされているとは言い難い。浜松医科大学と国立成育医療センターは、先天白内障を代表とする遺伝性眼疾患の症例が集中しており、詳細な眼所見の検査や、全身合併症や眼合併症を検討するのに既に多くの機器を整備している。遺伝子解析の体制も整っており、PAX6を伴う先天白内障等で変異解析の実績がある。更に、光干渉断層計(OCT)の臨床応用がはじまっており、今まで困難だった生体計測が可能になりつつある。本研究は、両施設における先天白内障を代表とする遺伝性眼疾患について、遺伝子異常を含めた原因に関する情報、種々の機器を用いた精細な臨床所見に加え、OCTによる生体計測のデータを蓄積し、わが国の研究の基盤とする事を目的とする。そこで本年度の研究計画は以下(1)~(4)を計画した。 (1)浜松医科大学と国立成育医療研究センターを含む共同研究施設に通院している先天白内障を代表とする遺伝性眼疾患患児の収集。(2)検体からのDNA精製。(3)変異解析。(4)臨床所見、全身合併症、眼合併症等のデータ収集。 (1)、(2)は前年度と同様に継続して研究を行った。(3)については前年度、PAX6遺伝子の変異解析で原因が同定出来なかったピーター奇形を伴った先天緑内障症例について次世代シークエンサーを用いて原因遺伝子の探索を行った。(4)については収集した検体について臨床所見、全身合併症、眼合併症等のデータ収集の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も引き続き先天白内障を代表とする遺伝性眼疾患の症例収集を行った。 前年度PAX6遺伝子の変異解析で原因が同定出来なかったピーター奇形を伴った先天緑内障症例について網羅的な原因遺伝子探索を行う為に次世代シークエンサー(NGS)を使用したターゲットシークエンス解析を行った。当教室で遺伝性網膜変性患者の遺伝子診断の為に設計した網膜変性の原因遺伝子74個を選択した遺伝性網膜変性パネルを用いて検討した。得られたNGSデータより疾患原因変異の絞込みを行った結果、疾患原因と推測できる遺伝子は検出されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)~(4)については引き続き症例を収集し、変異解析を行う。 原因変異を同定出来なかったピーター奇形を伴った先天緑内障症例については原因遺伝子を検出する為にヒト全タンパクコーティング領域が解析可能な全エキソーム解析を行う。また、本研究でFOXC1の遺伝子変異解析より原因変異を検出した難聴と他の全身疾患を合併する先天緑内障症例についても他の疾患原因遺伝子の寄与を否定する為、全エキソーム解析による確認実験を行う。
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